島根県東部からは、もう1つローカル線が山陰本線から分かれている。宍道駅から中国山地を越えて南に走る、JR木次線だ。

木次線が走っているのはいわゆる“奥出雲”と呼ばれる地域。古くはたたら製鉄で名を馳せて、いまではソロバンや出雲そばがよく知られている。亀嵩駅はごくごく小さな無人駅に過ぎないものの、松本清張の名著『砂の器』に登場するおかげで、観光客がいまも途切れずに訪れるとか。
広島県と結ぶ路線
またさらに南に進めば、出雲坂根―三井野原間の3段スイッチバック。中国山地の分水嶺を越えてゆくこの難所は、国道314号の「奥出雲おろちループ」や道の駅からも眺めることができる。三井野原駅を過ぎれば県境を跨ぎ、広島県は備後落合駅へと向かってゆく。
冬になると雪に覆われて、長期にわたって列車の走らないこともあるような秘境区間。運転本数も1日わずか3往復だけで、備後落合駅で接続する先の芸備線とて事情は同じ。
果たして今後も存続するのかどうか、と議論になっている区間でもある。そんなところにも、かつては陰陽連絡急行が走っていたというのだから、鉄道全盛期の優等列車ネットワークはなかなかスゴいものがある。
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