EUがワシントン条約にニホンウナギの掲載を提案。11月の締約国会議で採択されれば国際取引に影響も・・・日本の食卓はどうなる?

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生きたウナギやウナギ調製品(かば焼きなど)の輸入量全体のうち、9割以上を同国からの輸入が占めている(2024年、財務省貿易統計)。中国が条件付きで許可書を発行するなどの行動に出れば、輸入量が減って供給面に影響が出るリスクもある。

問題なく発行される場合も、書類上の手続きが発生することで輸入や仕入れにこれまで以上に手間がかかったり、人件費などのコストが増えたりするといった事態も考えられ、輸入業者やスーパー、飲食店などへの影響が少なからず想定される。

広がる懸念に対して水産庁漁場資源課は「今はEU提案が採択されるかどうかも分からない段階で、採択された場合の手続きやそれにかかる費用などの見通しは立っていない」と説明する。

焦点は「絶滅のおそれ」と「資源量の動向」

日本は今後、採択の回避に向けて中国や韓国、台湾と共同で関係国へ働きかけていく。議論の焦点となるのは、国際取引による絶滅のおそれはあるのか、また、資源量は減っているのかという点とみられる。

水産庁によれば、絶滅リスクは「無視できる水準」だ。定量的手法で再評価を行った結果、絶滅可能性は0.02%未満で、IUCN基準の「危機」には該当しない。

養殖に用いるシラスウナギは、国内の池入量に上限が設けられている(写真:こばやん/PIXTA)

また資源管理についても、日本は2014年に東アジア諸国と共同で養殖できる稚魚の量(池入数量)に上限を設けた。これにより、ニホンウナギの稚魚について日本は21.7トン、中国は36トン、韓国は11.1トン、台湾は10トンを超えない量で池入れを行うこととなっている。

ただ、この取り決めに法的拘束力はなく、今2024ー2025年漁期には韓国で上限を超える約19トンが池入れされた。中国については、水産庁の開示資料に今漁期のデータはいまだ掲載されていないが、上限の倍以上の池入量との報道もある。

国際社会からいかなる判断が下されるか。11月の締約国会議の行方に耳目が集まりそうだ。

本記事の詳報版は、東洋経済オンライン有料版記事「EUがワシントン条約にニホンウナギの掲載を提案。11月の会議で採択されれば国際取引に影響も・・・ウナギ関連業や日本の食文化はどうなる?」でご覧いただけます。
田口 遥 東洋経済 記者

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たぐち はるか / Haruka Taguchi

飲料・食品業界を担当。岩手県花巻市出身。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、京都大学大学院教育学研究科修了。教育格差や社会保障に関心。映画とお酒が好き。

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