関取も選手監督も皆がワクワクしていた…パ・リーグと大相撲の「異色コラボ」が成功した要因
球場には関取だけでなく、「呼出(よびだし)」(大相撲での取組にあたって、関取の呼び上げ、土俵整備、競技進行を行う)も来場し、監督や選手の名前を呼び上げるなどしてコラボ企画を盛り上げた。
「せっかく大相撲とコラボをするのに、関取が始球式を投げて終わりではあまりコラボにならないと思い、パ・リーグの全球場に関取と呼出さんにご来場いただきました。
イベントの詳細を球団担当者と考えるにあたり、協会の方々から呼出の役割について『ひがぁ~しぃ~と力士の名を読み上げたり、太鼓をたたくのが呼出なんです』とか、いろいろ教えていただきました。また、パ・リーグ各球団の中には大相撲が好きな方が多かったこともあり、相互に歩み寄っていろいろな企画演出を考えることができました」(森氏)
監督による四股は“仕込み”ではなかった
楽天モバイルパーク宮城で開催された東北楽天イーグルス対中日ドラゴンズの試合では、試合開始時に行われる監督同士のメンバー表交換の際、楽天の三木肇監督と中日の井上一樹監督がホームベースを挟む形で互いに四股を踏んだ。一見すると、コラボ企画に即した“仕込み”かと思いきや、そうではなかったという。
「あれは準備していた企画ではなく、両監督が自発的にやってくれたんです。想像もしていなかった展開だったので、現地で一緒に見ていた球団の担当者と顔を二度見合わせてしまいました。スタンドのファンの方々もすごく盛り上がっていましたし、とてもありがたかったです。
メンバー表交換時、呼出さんの呼び上げ後に『西方監督、三木肇、大阪府大阪市出身、東北楽天ゴールデンイーグルス部屋~』と行司さんの声が球場アナウンスされる演出もあったのですが、これは事前に声を収録していただいていたんです。そのアイディアは行司さん自らが出してくださったと聞いています。
我々から各球団に対して、今回のコラボでできることの大枠を事前に会話し、あとは各球団にいる演出のプロの方々が面白いことを考えてくれます。
例えばオリックス・バファローズであれば、AIを使って関取の体に選手の顔を当てはめてみたり、紅林弘太郎選手であれば『紅ノ富士』といった四股名(しこな)をつけてみたり、千葉ロッテマリーンズであれば、メンバー表交換時のビジョンの文字が全部NHKの相撲中継のようになっていたりとか。演出のプロたちがさまざまなアイディアを出し、楽しい演出をやってくれたのがとてもよかったです」(森氏)
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