故・山崎元氏が最も信頼した個人投資家・水瀬ケンイチ氏が伝授…「人生100年時代」に身につけたい、失敗しない《資産の取り崩し方》

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4%ルールを紹介したが、研究の多くは30年程度の退職後の期間を想定したものだ。

しかし、人生100年時代となり、決して大げさではなく50年以上の退職後の期間を考える場合、「3.5%ルール」や「3%ルール」など、より保守的な取り崩しルールが求められる場合もあるだろう。自分の資産額、想定されるライフイベント、余命などに応じて取り崩し率を決めるとよいだろう。

そうはいっても、目安はほしい。モーニングスター社のデイビッド・ブランチェット氏らによる「Low Bond Yields and Safe Portfolio Withdrawal Rates」(2013年研究)によれば、株式60%:債券40%の伝統的な資産配分でも、取り崩し率を3.5%程度に抑えれば、50年間の退職後の期間でも資産が枯渇する確率は約10%以下に抑えられるという。

これは、1億円の資産なら年間350万円程度の取り崩しが可能であることを意味する。

どの口座のどの商品から売却すればよいのか?

では、取り崩し金額が決まったとして、実際に資産を取り崩す(保有資産を売却する)際には、どの口座のどの商品からどのくらい売却していけばよいのだろうか。

まず、課税口座(一般口座・特定口座)と非課税口座(NISA)の両方で資産運用している場合、取り崩すのは課税口座の資産からだ。

NISA口座は運用益が非課税であるが、2024年からはその非課税期間が恒久化されている。できるだけ長期間、NISA口座で運用を続けたい。NISA口座で資産を長期保有すればするほど、この非課税効果も複利で大きくなるからだ。

なお、iDeCo(個人型確定拠出年金)は年金であり、取り崩しの期間や金額にあまり自由が効かないだけでなく、退職所得控除・公的年金等控除との兼ね合いで、運用資産の取り崩しとはまったく別のロジックで最適な取り崩し方法が決まる。

個人の状況(退職金の有無、公的年金の受給額、その他の所得、配偶者の所得など)によって大きく異なり簡単ではない。自身の状況に合わせたシミュレーションを行い、専門家に相談されることをおすすめする。

次に、どの資産クラスから売却すればよいのか。答えは、所定の資産配分を維持できるように売却することだ。

次ページ売却後の「資産バランス」
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