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「思いがけないお申し出でびっくりしております」絶滅危惧種イヌワシ研究の第一人者が驚愕した理由

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全国に生息するイヌワシは現在、400羽前後。岩手県は「26つがいの維持」を目標にしているが、「実はどんどん減っていて、危機的状況にある」と由井博士は顔を曇らせる。

由井博士によると、大東町に生息するつがいのもとから無事巣立ったのは、この20年間にたった2羽にすぎない。種として維持していくためには、3年に一度の巣立ちが必要というから、かなり危機的な低繁殖率といえる。由井博士は「原因はエサ不足」と断じる。

ヒナが育たない。親鳥も満足に食べられない。そんなエサ不足はなぜおきるのか。翼を広げると2mを超えることもあるイヌワシは、木々が繁る森や林に飛び込んでエサを採ることができない。草地でエサを探せばいい、と言っても、それも難しくなってきた。風車から半径500mを避けて飛ぶので、風車1基が建つと面積78.5ヘクタール分は餌場として使えなくなるからだ。

協議会は今後、広葉樹の林を一部伐採してイヌワシの餌場を作り出すとともに、木材を搬出して売ったり、木製品を製造・販売したりするほか、イヌワシの観察会などを開き、エコツアーなども行うなどのアイディアが関係者から出ている。

イヌワシの生息地を見渡せても、地形上、営巣場所はわからない(撮影:河野博子)

イヌワシがいることを明らかにしていいのか?

研修会では、取り組みの方法について危惧する声もあがった。岩手県内のほかの場所で、イヌワシの営巣地のそばにカメラを手にした人々が殺到し、繁殖を脅かしている事例があるからだ。「観察会を開くということは、イヌワシがいることを明らかにすることになる。それでいいのだろうか」という声が出て、議論となった。

由井博士は「ここには地形上、営巣地を見渡せる場所がなく、下から見上げるか、遠くから見るしかない。マナーを徹底して知らせることを続けていくことが大事」と発言した。しかし、希少種の保護に腐心してきた参加者は心配をぬぐえない。具体的な方法について意見が交わされた。

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