サングラス型ディスプレイ市場でXREALがトップを走る理由。87gの軽の「XREAL One Pro」はソニー製マイクロOLEDを採用、空間に大型画面を表示する仕組みとは
ARグラスは「スマホを代替するのでは」と騒がれることも多く、将来性はある製品だ。だが現状、メガネのように気軽に使える、理想的なARグラスはまだ商品化されていない、と理解していただきたい。
軽い・安い・シンプル。それを支えるソニーの技術
とはいえ、ARグラスそのものでないからといって、サングラス型ディスプレイに価値がないか、というとそうではない。映画を見たり、外出先でPCのディスプレイとして使ったりするにはかなり有用だ。
例えば、同様のことはApple Vision Proでもできる。正直、Vision Proでの映画やPCディスプレイ体験は、品質や画質、操作性が非常に優れており、現状のサングラス型ディスプレイでは比較にならない。しかし、Vision Proは60万円近くするし、サイズも大きく、気軽には持ち運べない。重さが気になる(ヘッドセット全体で600g以上)という人も多い。
しかしサングラス型ディスプレイは、「軽い」(XREAL One Proの場合で87g)「かさばらない」「安い」(XREAL One Proの場合で8万4980円、これで最高クラス)という特徴がある。多少画質が落ちても、視野が狭くても、サングラス型ディスプレイを選ぶという人も多数いるだろう。
そして、「シンプルなディスプレイ」という製品に徹した場合、サングラス型ディスプレイは「シンプルながら十分役立つ製品」に進化してきて今に至る……と思えばいいだろう。
それを支えているのが、ソニー製の「マイクロOLED」だ。
現状、サングラス型ディスプレイのほとんどでソニーの半導体部門であるソニーセミコンダクタソリューションズ製のディスプレイが使われている。元々はデジタルカメラのビューファインダー向けの技術だったが、そこから派生して現在は、サングラス型ディスプレイ・XR機器向けディスプレイ用の製品が作られるようになった。スマホ向けのイメージセンサーのような巨大ビジネスにはなっておらず、同社としては「今後期待される市場」として、慎重に動向を見極めつつ生産への投資規模拡大を進めていく考えだ。
この種の製品では、現状XREALが市場でトップを走る。
IT専門調査会社IDCが今年6月に発表したXR(仮想現実・拡張現実などの総称)関連市場の調査によると、2025年第1四半期にはMetaが50.8%のシェアを獲得しダントツの状況にあるものの、XREALが12.1%となり、昨年2位のByteDance(PICO)を抜いた。そのうえで、シェア4位の「VITURE」(6.2%)、5位の「TCL」(4.2%)に比べかなり差をつけている。
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