サングラス型ディスプレイ市場でXREALがトップを走る理由。87gの軽の「XREAL One Pro」はソニー製マイクロOLEDを採用、空間に大型画面を表示する仕組みとは

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できることは「空間にディスプレイを表示すること」だ。

以下の写真は、XREAL One ProをMacBook Proにつないだときの画面を、XREAL One Proの接眼部に接写して撮影したものだ。

XREAL One Pro
ディスプレイ部を接写。空間にワイドディスプレイが浮いている(筆者撮影)

画角21:9のワイド画面で、PCの画像が空中に表示される。写真は撮影の関係で多少歪んでいるが、一般的なノートPC(13インチクラス)の数倍くらい大きな画面を表示して使える……と思ってもらえばいい。画面が広くなって作業がしやすくなるだけでなく、「他人に中身を見られることがない」というメリットもある。

映画などの鑑賞にも向いている。長距離移動のときなどに、スマホやタブレットよりはるかに大きな画面で、椅子にもたれかかった姿勢で映像を楽しめるため、とても快適だ。

ARではなく「ディスプレイデバイス」

とはいえ、宣伝文句にあるように「視界が全部映像で入れ替わる」ような状態にはならない。視野の中央にだけ映像が出る、という印象に近い。

こうした製品を、各メーカーは「ARグラス」と呼称することが多い。だが冒頭で述べたように、ARグラスという呼称は正しくない。なぜなら視野角の狭さから、映像を現実に重ねられるのは「視野の中央だけ」になってしまい、覗き穴感が出てしまうためだ。また、ARにはかなりの処理能力が必要で、コストや発熱などの点で課題が多い。

この種の機器は「メガネ状のデバイスに組み込まれたディスプレイを見る」ものだ。結果として空中に画面が現れる……と思ってもらうのが正しい。

いわゆるVR用ヘッドセットは数インチから1インチくらいの比較的大きなディスプレイを使うが、サングラス型ディスプレイは小指ほどのサイズしかない0.5インチくらいのディスプレイを使っている。だからサングラスくらいのサイズに収まっているのだが、その代償として、映像が表示できる範囲(視野角、FoVとも呼ばれる)が狭くなる。

現状、サングラス型の場合、視野角(映像が見える範囲、FoV)は50度前後しかないものがほとんどだ。Meta QuestなどのVR用ヘッドセットは110度程度、解像度を重視したApple Vision Proで90度くらい。これだけあれば「視界全部をCGで覆う」感じになるが、サングラス型ディスプレイは、それらに比べると狭い。

スマホなど多くの機器と連携させること、コストを下げることなどの条件が重なって、比較的シンプルな「メガネの形をしたパーソナルディスプレイ」であるのが現状である。

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