短くわかりやすいスローガンが有権者に刺さる姿はまるで「小泉旋風」、国民民主党&参政党の躍進に潜む"危うさ"の正体
なお参政党も、男性の支持率が7.6%に対して女性の支持率が3.6%と男性からの支持が多く、18〜29歳の年齢層では12.3%で、国民民主党に次いで人気が高かった。また、50代の支持率が自民党(17.1%)に次ぐ10.2%で、5.6%の国民民主党よりも支持層の年齢が高いことがうかがえる。
今回の参院選の投票率は58.51%で、3年前の前回より6.46ポイントも高かった。2022年の参院選での投票率は、10代では35.42%で、20代は33.99%、30代は44.80%と、いずれも若年層は全年齢層よりも低い傾向にあるが、2025年の参院選ではこれらの層の投票率が上昇したのではないかと思われる。
実際に朝日新聞が7月13・14日に行った調査で「投票に必ず行く」と答えたのが、18~29歳が54%で、3年前より17ポイントも増加。30代では66%と、11ポイント増えている。
今回の参院選と印象が重なる「小泉旋風」
短く印象的な言葉を使ったことで国民の支持を得たといえば、「自民党をぶっ壊す」と叫んで2001年の自民党総裁選で勝利し、「聖域なき構造改革」を掲げて小泉改革を推進した小泉純一郎元首相を思い出す。
北海道大学の山口二郎名誉教授は、小泉政権が5年も続いた背景について「それまでの自民党に対する嫌悪や絶望が社会に蔓延していた」と分析したうえで、小泉元首相の誕生が「森前首相の下で政権も自民党も国民から見放されたどん底のタイミングであった」と述べている(『世界』2006年10月号「自民党を蝕んだ小泉政治」)。
確かに現在もまた、国民が派閥の裏金問題などに象徴される「政治とカネの問題」で国民は自民党政治にうんざりしている。さらに2001年はITバブルが崩壊し、9月にはアメリカ同時多発テロが発生して、景気は一気に冷え込んだが、2025年の今も、国民はコロナ後の物価高にあえぎ、トランプ関税におびえている。とりわけ若年層には「過去の繁栄の負の遺産を押しつけられている」といった不満は強い。
こうした層にとって国民民主党の「手取りを増やす」というスローガンは、「搾取された税金」を取り戻すというメッセージになっている。また参政党の「日本人ファースト」は、不満の原因を外国人に押しつけることで、自己を解放するものとなっている。いずれも長年の政治の失敗を国民が耐え忍んだ末、ようやくその不満を爆発させるきっかけが見いだせたということだ。
一方で、小泉政権に通じる懸念もある。小泉元首相は2005年に郵政民営化をめぐって衆議院を解散し、83人の「小泉チルドレン」を誕生させた。
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