参政党躍進は新たな日本株のリスク、海外勢動向に懸念-株主偏重反対

「日本人ファースト」を参院選のキャッチフレーズに据えた保守系政党の躍進が、海外投資家の日本株投資を慎重にさせる可能性が警戒され始めた。
NHKの開票速報によると、20日に行われた参院選で反外国人感情に訴えかける政策を掲げた参政党が有権者から人気を集め、議席を一気に2桁台に増やした。自民・公明の連立与党が参院での過半数を失う中、保守層の受け皿となった格好だ。加えて参政党は、株主に企業利益が過度に流れる金融中心の経済を改め、金融取引の規制強化や配当への制約を設けることも打ち出している。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジスト兼ファンドマネジャーは「株主偏重は直すべきだというような発言や海外の人に対しては消極的な姿勢が強く、海外投資家の目にどう映るかは気になる」と指摘。参政党の躍進は「株価にとっては厳しい」との見方を示した。
東京証券取引所が上場企業に対し資本コストや株価を意識した経営を要請した2023年春以降、企業側の意識も大きく変化し、自社株買いや増配など株主還元を強化する動きが目に見えて増えた。資産効率の改善は海外勢が日本株を評価する材料の一つとなり、東証株価指数(TOPIX)と日経平均株価が昨年史上最高値を更新する原動力となった。
海外勢は7月第2週まで15週連続で日本株の現物を買い越しており、米国の関税政策に対する懸念や国内政治の不透明感が広がっているにもかかわらず、相場は底堅く推移している。
オーストラリアの投資会社、センジン・キャピタルで最高経営責任者(CIO)兼最高投資責任者(CIO)を務めるジェイミー・ハルス氏は「株式市場にとって最も重要なのは進行中の企業改革で、この選挙が改革に影響するとは思わない」と指摘。ただし、「反外国人感情が今後も強まり、海外投資にまで影響が及ぶ事態になれば、それは明らかにネガティブ」と話す。
参政党の考えが他党の政策にも影響を及ぼし始めた兆候が見える。石破茂首相は参院選の開票日前、外国人の社会保険料等の未納付防止などの課題を対処する外国人との秩序ある共生社会推進室を発足させた。衆参両院で過半数を失った連立与党は今後、法案成立のためには野党の協力が一層不可欠となっており、保守層の支持を得るため、参政党の政策が反映される可能性はある。
とはいえ、右派政党の台頭は世界的な動きであり、日本株の投資魅力は依然としてあると冷静に受け止める向きも少なくない。
GAMAアセット・マネジメントのグローバルマクロポートフォリオマネジャー、ラジーブ・デメロ氏は「日本における構造改革とマクロ経済の改善、他国にも同様の問題があることを踏まえると、グローバル投資家にとって日本市場の魅力が薄れることはない」と話した。
著者:横山桃花
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