
海外でお土産を調達したいとき、ローカルの雰囲気を味わいたいときに向かうのが、市場やナイトマーケット。ウルムチ最大のマーケットは新疆国際大バザール(新疆国際大巴扎)だ。
国際大バザールは総面積約10万平方メートルの巨大市場で、飲食店や土産物屋、貸衣装屋など3000以上のお店が連なっている。日本人向けにわかりやすく説明すると、東京ドーム2個分の大きさで、大通りを挟んで複数のエリアに分かれている。
2003年に開業したバザールは、中国人の旅行ブームを受けて2010年代に拡張工事を行い、2018年に今の姿になった。
イスラム、中国、ウイグル、さらになぜかギリシャの建築様式を組み合わせた建物に、シルクロードの中心地の象徴である「シルクロードタワー」、1000人を収容できる劇場、築年数の浅いモスク、歩行者天国……つまり観光客向けにつくられた“官製”バザールで、「インバウン丼」ですっかり有名になった豊洲・千客万来の新疆版とでもいうべきか。
市場に並ぶ謎の食べ物とフードコート
中国の有名観光地はどこに行っても、似たようなお土産物屋と「映える」けど安くないご当地グルメが並ぶようになり、周辺の同質性が進んでいる。
筆者はそんな「お金を落としてください」と言わんばかりの「つくられた観光地」に醒めてしまう旅人の1人だが、ウルムチのバザールは思いのほか面白かった。

見たことのないドライフルーツやナッツが山のようにあり、「便秘果」「美人指」など興味深い名前がついている。黒くて細い美人指は、「日本由来の品種であるユニコーンと別の品種をかけ合わせて生み出された、大きな実が特徴のブドウ」だという。

日本のサイトでも調べてみると、美人指は旧ソ連から流入した「ユニコーン」と別の品種をかけ合わせ、中国人が生みだした新種だと説明されていた。日本語の名前は「マニキュアフィンガー」。どっちにしろ女性の美しい指をイメージして名づけられたようだ。
旧ソ連から日本に持ち込まれた品種が、中国人の手で新品種に育成され、ロシアに近い中国で普及した。目の前の黒くて細いドライフルーツにそんな壮大なストーリーがあるとは。
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