背後から近づくロボット犬、近代的なモール…新疆ウイグルの「観光都市」ウルムチ、《世界一周一人旅》の途中で6時間街歩き

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カメラを搭載したロボット犬
バザールを歩いていると、カメラを搭載したロボット犬が背後からやってきた(写真:筆者撮影)
経済ジャーナリストで、法政大学MBA兼任教員の浦上早苗さんが挑戦した50歳からの“おひとり様”世界一周。その旅を通じて見えてきたもの、感じたことを、ありのままに綴る連載が「シン・世界一周〜人生後半、日本を学び直す旅」です。
今回は前々回・前回で紹介した「中華系キャリアの激安ビジネスクラス搭乗記」の旅程中、トランジットで立ち寄った新疆(しんきょう)ウイグル自治区・ウルムチでの滞在の様子を前後編でお届けします。
後編の今回は、大バザールやショッピングモールなど、乗り換えまでの間、街歩きをした様子をご紹介します。
【前編】「コメの値上がりはトランプのせいか?」、シルクロードの中心で日本のコメ問題について聞かれた不意打ち。世界一周旅、新疆ウイグル滞在記

海外でお土産を調達したいとき、ローカルの雰囲気を味わいたいときに向かうのが、市場やナイトマーケット。ウルムチ最大のマーケットは新疆国際大バザール(新疆国際大巴扎)だ。

国際大バザールは総面積約10万平方メートルの巨大市場で、飲食店や土産物屋、貸衣装屋など3000以上のお店が連なっている。日本人向けにわかりやすく説明すると、東京ドーム2個分の大きさで、大通りを挟んで複数のエリアに分かれている。

2003年に開業したバザールは、中国人の旅行ブームを受けて2010年代に拡張工事を行い、2018年に今の姿になった。

イスラム、中国、ウイグル、さらになぜかギリシャの建築様式を組み合わせた建物に、シルクロードの中心地の象徴である「シルクロードタワー」、1000人を収容できる劇場、築年数の浅いモスク、歩行者天国……つまり観光客向けにつくられた“官製”バザールで、「インバウン丼」ですっかり有名になった豊洲・千客万来の新疆版とでもいうべきか。

市場に並ぶ謎の食べ物とフードコート

中国の有名観光地はどこに行っても、似たようなお土産物屋と「映える」けど安くないご当地グルメが並ぶようになり、周辺の同質性が進んでいる。

筆者はそんな「お金を落としてください」と言わんばかりの「つくられた観光地」に醒めてしまう旅人の1人だが、ウルムチのバザールは思いのほか面白かった。

バザールの中のお土産屋
バザールの中のお土産屋(写真:筆者撮影)

見たことのないドライフルーツやナッツが山のようにあり、「便秘果」「美人指」など興味深い名前がついている。黒くて細い美人指は、「日本由来の品種であるユニコーンと別の品種をかけ合わせて生み出された、大きな実が特徴のブドウ」だという。

美人指などドライフルーツ
見たことがないドライフルーツやナッツ類(写真:筆者撮影)

日本のサイトでも調べてみると、美人指は旧ソ連から流入した「ユニコーン」と別の品種をかけ合わせ、中国人が生みだした新種だと説明されていた。日本語の名前は「マニキュアフィンガー」。どっちにしろ女性の美しい指をイメージして名づけられたようだ。

旧ソ連から日本に持ち込まれた品種が、中国人の手で新品種に育成され、ロシアに近い中国で普及した。目の前の黒くて細いドライフルーツにそんな壮大なストーリーがあるとは。

【この記事の写真を見る】日本では見慣れないものもあれば、見慣れたものも…。だから旅は面白い(19枚)
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