「雲南みたいなところだね」と感想を言うと、「雲南人はもっとあっさりしているだろう。新疆人はみな親切で情熱的だ」。
海外旅行で出会う運転手は、ガイドブックや旅ブログには書いていないその土地のことを教えてくれる水先案内人だ。彼一人と話しただけで、この地域が異文化の結節点であることを肌で感じることができた。
ラクダでなく車に乗っていたけど、トルコ語もロシア語も中国語も話す彼は、シルクロードの交易者の一人なのだ。
「異邦人」を口ずさんでいると感じた視線
車を降りると目の前は国際大バザールの入り口。運転手が「メインゲートじゃない」と言っていたように、人はまばらだ。
入り口で荷物をX線に通し、ボディチェックを受けた。自由に出入りできない市場とはなかなかシュール。

ゲートを通るとごっついタワーとモスクがそびえたっていた。中国なのにモスク。広がる青空に開放感を覚え、久保田早紀の「異邦人」を口ずさんでいると、警察官2人がじっとこっちを見ているのに気づいた。

モスクと警察官、そして異邦人の私。ここはシルクロードの中心なのか、それともディストピアの入り口なのか。この奥には何があるのだろう。

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