【25年上期の「Spotifyランキング」トップ10】海外で最も再生された日本アーティストは《Ado》!《YOASOBI》の同部門“5連覇”阻んだ理由は?
一方、「海外で最も再生された国内楽曲」TOP10を見ると、10曲中8曲がテレビアニメまたはアニメ映画の主題歌などのタイアップ曲だ。
残り2曲のうち、藤井風の「死ぬのがいいわ」は、海外のTikTokユーザーが日本アニメに乗せて配信した映像が爆発的に拡散していた(もう1曲は日本を題材にしたハリウッド大作映画のサウンドトラック)。
このように、日本発の世界的ヒット曲の多くが、世界中で圧倒的な人気を誇る日本アニメとひもづいている。
かつて、音楽業界が国内市場を向いていた時代に、テレビドラマやCM、映画のタイアップは、CDを売るための強力なプロモーション手法だった。
そこから音楽のデジタル流通が一般的になり、コロナ禍を経て国内市場頼みのセールスに限界が見えたときに、本格的な世界進出が日本音楽業界の喫緊の課題になった。
そこでは、世界中に根強いファンを持つアニメとのタイアップが、海外での知名度と人気の拡大のためのひとつの足がかりとなり、世界市場進出への即効性のある手法になっている。
アニメタイアップは一過性ブームで終わる可能性も
実際、世界的に絶大な人気を誇る日本アニメは強い。その主題歌や劇中歌からは、多くのグローバルヒットが生まれ、そのアーティストの知名度も人気も一気に高まる。ただ、そこには一過性のブームで終わる危険性をはらんでいる。
ヒット創出タイミングで世界ツアーを成功させたとしても、数年後には集客が難しくなるケースも出ているのだ。
アニメは、テレビも映画も含めて多くの新作が次々に放送、公開される。作品そのものもタイアップ曲も、どんどん新作が登場するとともに、ファンのなかで上書きされていき、トレンドは瞬く間に移り変わる。
そうした状況のなか、アニメタイアップ曲の一時的な人気を、いかにアーティストの人気に定着させるかが積年の課題になっている。
ただ、その状況自体は決して悪いことではない。
アニメタイアップが、アーティストにとって世界進出への突破口のひとつになっていることは間違いない。アーティストも音楽レーベルもそれを踏まえたうえで、その状況を利用した戦略的な世界進出に取り組んでいる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら