アスリートの盗撮を禁止する「撮影罪」施行も、法の抜け穴をかいくぐり…女子プロレスラーを苦しめた“被害の全容”と盗撮者の“呆れた言い分”
一方で、改正法は、国及び地方公共団体の措置義務とスポーツ団体の努力義務を規定するにとどまり、上記行為者に対する直接的な制裁の定めがない点が、今後の課題です。
2023年の盗撮罪の成立に際しては、衆・参議院それぞれの附帯決議において、アスリート盗撮の規制について検討を行う旨が明記されました。
今回のスポーツ基本法の改正も踏まえて、「規制」について更なる検討が進むことを期待されます。
——今後は、改正法は、既存の「撮影罪」や都道府県の迷惑防止条例の運用・解釈に、具体的にどのような影響を与えると予想されますか。たとえば、これまで判断が難しかった競技中の「ユニフォーム姿」の撮影が、悪質なケースでは「撮影罪」に問われやすくなる、といった変化は期待できるでしょうか。
今回の改正法により、既存の法律や条例の「解釈」に直ちに影響が及ぶかというと、それは難しい面があると思われます。だからこそ、新たな「規制」についての検討が望まれます。
一方で、「運用」における変化は期待できます。
現状の法律や条例でも、アスリート盗撮やSNSでの誹謗中傷のうち処罰対象とできる事象は多くありますから、それらを適切に立件することは、まさに今回の改正法が国及び地方公共団体に対して求める「必要な措置」のひとつであると考えます。

実際に法的措置に取り組んだ弁護士は
ディアナ側の代理人として法的措置を取った小沢一仁弁護士も、改正法には一定の期待を寄せる。
「前向きにとらえれば、法律の根拠に基づいて、性的な姿が撮られないように競技会場での注意喚起などの対策が実行されることに期待したいです」