台湾が「日本の電子部品」を欲しがる理由。台湾企業による日本企業のM&Aは新フェーズに突入

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台湾企業による日本の企業や事業の買収は00年代から相次いでいる。ただこれまでは、半導体や液晶パネルなど日本企業の競争力が衰えた領域が多く、それを台湾企業が買収することで規模拡大を図るものだった。

成長機会逃す中小企業に注目

一方で今の台湾企業が狙っているのが、高い競争力は持っているものの成長機会を逃している、中堅・小規模の日本企業だ。

中でも注目度が高まっているのが、AI関連のハードウェア技術を有する企業だ。コンピュテックスに出展していた電子機器受託製造で世界シェア2位の台湾・ペガトロンの幹部はこう語る。「データセンター向けの冷却装置や、機器を省エネかつ高い耐久性で動かし続ける技術に長けた日本企業には注目している」。

今年のコンピュテックスで一大テーマとなったのが、AIの社会実装だ。AIというソフトウェアを稼働させるには、大量の電力を消費し、熱を発するサーバーを動かし続けるためのハード製品の技術力の向上が必要になる。中堅以下には、こうした需要に対応できる企業が複数存在する。

台湾の龔明鑫(クンミンシン)・行政院秘書長(官房長官相当)は経済閣僚だった23年時点の東洋経済によるインタビューで、こう指摘した。

「日本企業は製品に対する実直な考え方があるが、スピード感が少し足りない。台湾企業が持つ柔軟性やコストを合理的に抑制するノウハウと組み合わせれば、一緒に発展できるだろう」

この見方は多くの台湾企業にも共有されているところだろう。日本が劣後した技術を台湾企業が買うフェーズから、高い技術を持つ企業をさらに成長させるための買収へ──。台湾による日本企業の買収は、転換点を迎えている。

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劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

東洋経済編集部員・記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。現在は、特集や連載の企画・編集も担当。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。早稲田大学台湾研究所招聘研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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