スシローは「おぱんちゅうさぎ」コラボで客数25%増!回転ずし大手3社がハマる《オタク経済圏》の豊穣すぎる"沼"っぷり

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厨房についてもテクノロジー化が進んでおり、シャリ握りロボットや自動皿洗い機などの活用が当たり前となっている。ただ、技術の進化に左右されることもあり、これ以上の飛躍的な変化が難しいのが現実だ。

となると、最後に残されたのが販売管理費である。くら寿司は2025年10月期の上期決算で純利益が前年同期比50%減となったが、その原因の1つが販管費の増加だ。販管費には広告宣伝費も含まれる。

回転ずし大手は各社がテレビコマーシャルを流しており、スシローは笑福亭鶴瓶さん、くら寿司はダウンタウンの浜田雅功さん、はま寿司は川口春奈さんと、知名度と好感度の高いタレントを起用している。その分、コストも高いが、テレビコマーシャルの結果、どの程度、来店客数が増加したかは計測できない。

その中で、アニメやゲームなどとコラボだと、すでに多くのファンがついているので、ある程度の見込みを立てやすい。ファンの属性によって、集客したい客層にピンポイントでリーチすることもできるだろう。

つまり、実際に既存店の客数増という結果も出ていることから見ても、効果的な広告宣伝費の使い方ができるというわけだ。なお、スシローを展開しているFOOD & LIFE COMPANIESは2025年9月期の上期決算で販管費の削減に成功しており、営業利益率も9.6%と回転ずしチェーンとしては驚異の数字をたたき出している。

都市型店舗のアイドルタイムに打ってつけ

3つ目の理由が「都市型店舗の存在」だ。かつて回転ずしチェーンの店舗はロードサイドにあるのが当たり前で、家族連れを中心に利用されていた。しかし現在では、ロードサイドの競争の激化を受けて、都市型店舗の開発が進む。

都市型店舗の1つである「スシロー ヤエチカ店」はビジネス客だけでなく、新幹線を利用する旅行者の利用も多い(写真:FOOD & LIFE COMPANIES提供)

しかし、ロードサイドと都市型ではターゲットが異なる。しかも、家賃が高いため、アイドルタイム(客数の少ない時間)と呼ばれる時間帯でも集客をしないと経営が成り立たない。そのとき、人気IPとのコラボは大きな力を発揮する。

ファンが学生であれば、ランチやディナー以外の時間帯に来店するケースも多くなる。また、若い女性のグループ客など、ロードサイトではなかなか来店しない層の集客も期待できる。

アニメやゲームなどとのコラボは、今後も回転ずし業界で積極的に行われていくのは間違いない。どの人気作がどことコラボをするのか。それを考えることも、新たな回転ずしの楽しみ方になるだろう。

三輪 大輔 フードジャーナリスト

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みわだいすけ / Daisuke Miwa

1982年生まれ、福岡県出身。法政大学卒業後、医療関係の出版社などを経て2014年に独立。外食を中心に取材活動を行い、2019年7月からは「月刊飲食店経営」の副編集長を務める。「ガイアの夜明け」に出演するなどフードジャーナリストとしての活動の幅を広げ、これまでインタビューした経営者の数は 500 名以上、外食だけでも200名近くに及ぶ。

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