スシローは「おぱんちゅうさぎ」コラボで客数25%増!回転ずし大手3社がハマる《オタク経済圏》の豊穣すぎる"沼"っぷり
これほどまでに回転ずし業界でコラボの動きが盛んな背景には3つの理由がある。
1つ目の「エンタメ性の演出」は、2023年に発生した回転ずし店での迷惑行為の影響で、回転レーンがなくなった影響が大きい。
かつての回転ずし店は、レーンですしが回っているだけでライブ感やエンターテインメント性があった。しかし、客の席まで直接商品を届ける配膳レーンに置き換わった結果、ほかの仕掛けでエンターテインメント性を生み出す必要が出てきてしまった。
そうした背景を踏まえて、スシローは大型タッチディスプレー「デジロー」を、はま寿司では「回るタッチパネル」を導入し、ライブ感やエンタメ性のある演出に力を注いでいる。その中で、人気IPとのコラボもエンタメ性の演出に一役買っているのは間違いない。

スシローの場合、特定の店舗でスペシャルコラボを行うケースがある。例えば、6月25日から実施しているパズルゲーム「BTS Island:インザソム」とのコラボレーションでは、新宿三丁目店、道頓堀店、難波アムザ店、栄店で、その世界観をより体験できるスペシャルコラボを行っている。また、コラボの発表をSNSで行い、期待感をあおることで来店前から独自の体験を提供できるなど、これまでにはないエンタメ性も演出でき、そのメリットは大きい。
人気IPとのコラボは「読める広告宣伝費」
2つ目は「コストの高騰」だ。現在、多くの飲食店が人件費や原材料費の高騰に苦しんでいるが、回転ずし業界も例外ではない。現に、スシローとくら寿司は2022年に値上げを行い、100円ずしを廃止した。しかし、漁獲量の低下やコメ価格の高騰もあり、原材料費を削るにも限界がある。
そもそもスシローの原価率は43.1%と高く、「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」という企業理念の実現のため、いい品質にネタをリーズナブルに提供している。逆にいうと、原価率を削りすぎてしまうとブランド価値が毀損され、客から選ばれないなくなるリスクもあるということだ。
人件費についても、回転ずし各社はDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進することで対策を講じている。実際、コロナ禍以降、無人レジや自動案内システムなどは珍しくなくなった。
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