フジテレビはどこまでフジテレビを検証できたのか? 「検証 フジテレビ問題」を徹底的に考察してみた
ところが、第2部「再生・検証」に入ると、清水社長がまるで解説者のように登場し、これまで発表した再生プランを説明した。せっかく掘り下げた「反省」の後でフジテレビの広報番組にトーンが転じてしまう。そうすると「反省」も、清水社長が今後について語る前振りだったのかと白けてしまった。

清水社長が再生について語る機会は株主総会前後など、これまでにもあった。再生プランを画面で見せ、コメンテーターの石戸諭氏(ノンフィクションライター)、矢守亜夕美氏(オウルズコンサルティンググループ執行役員)に評価してもらえば、それでよかった。
最後の15分ほどで現場の社員たちの声のパートがあった。清水社長を出すより、社員たちのパートにもっと時間を割けばよかったのにと思う。社員たちの座談会のような形のほうがよほど「再生・改革」が伝わったのではないか。
ネット上では9割超がネガティブな評価
終了直後にYahoo!で「フジテレビ 検証」とリアルタイム検索すると、この番組についてのX(旧ツイッター)の投稿が並び、94%がネガティブな内容と判定された。いまネットでフジテレビが批判されやすいことを割り引いても厳しい評価だ。
「反省」を清水社長の謝罪と解説で挟んだ構成は、フジテレビの「御用番組」との印象をもたらした。補う意味でも、これを機に「反省」をさらに続けるべきではないか。
フジテレビ問題はフジテレビだけでなく、放送業界全体の問題でもある。なぜ日枝氏への権力の集中が生まれたかも掘り下げて考える必要がある。
日本のテレビ局はいくつかの規制により、外資だけでなく、国内資本も一定割合以上の株式を保有できない。放送という公共性の高い事業を特定勢力に支配させないためだが、その結果、内部に強大な権力者を生みがち。フジテレビ問題で露呈した放送業界全体の問題だ。
今回、フジテレビにおける日枝氏の独裁は排除されたが、ほかのテレビ局の中には日枝氏に似た独裁者がいる可能性はある。そうした人物を今後排除できるのか、また独裁者を生まないために放送局のガバナンスはどうあればいいか。
総務省は「放送事業者におけるガバナンス確保に関する検討会」という有識者会議をスタートしたが、私たち視聴者も目を光らせるべきテーマだと思う。
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