フジテレビはどこまでフジテレビを検証できたのか? 「検証 フジテレビ問題」を徹底的に考察してみた
この「契約終了」という処分には疑問を呈しておきたい。反町氏は3月27日にすでに取締役を退任している。退任後も会社が契約社員として雇用しており、その契約を終了させた処分と思われる。ほかの退任した取締役も、反町氏のように何らか契約しているとの噂も聞く。
責任をとって取締役を退任したなら、その企業との関係を断つのが本来ではないか。フジテレビは「取締役」の意味や責任がわかっていないのではないか。まだまだコンプライアンス問題が潜んでいるのではないかと疑いたくなる。
日枝氏の問題追及には一定の評価
港・大多両氏については十分深掘りしたと感じた。ただ、両氏に対しては会社が提訴しており、ここまでは会社側の意向に沿っているとも思えた。
一方でその後、日枝久氏になぜ権力が集中したのかを掘り下げていて、このパートはよくここまで頑張ったと感心した。日枝氏の側近だった遠藤龍之介前副会長をはじめ、周りにいた人々の証言を重ねていき、当初は人望が集まる上司だったが、徐々に「独裁者」に変貌する過程が明らかになった。
2007年から2013年までフジテレビの社長を務めた豊田皓氏は「権力におもねるとり巻き、茶坊主が増殖」と、当時の様子を文字に書いて示した。「権力者には耳に心地いい話しか入らなくなり、経営判断を誤る」との言葉に、今回の問題の根本原因が見えた。

フジテレビが初めて番組の中で日枝氏の責任を明確に示した。ただここまでやったなら、日枝氏宅に突撃してひとこと言わせられなかったのかと思う。企業の不祥事報道ではいつもやっていることではないか。
放送終了後のNHKニュースでは特番放送を取り上げ、「日枝氏が人事権を持ち続けたことがガバナンス不全の一因」と報じた。日枝氏に責任があったと、社会的に認識されたといえる。
第1部の「反省」は日枝氏の責任を明確化し、報告書について本人の証言を数多く映像化するなど、評価できると感じた。
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