「AIにES(履歴書)を書かせる就活生が急増」それを“けしからん”と言う人のほうが間違い…《AIに経歴を"加工"させる》学生が優秀であるワケ

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“加工”を促すAIの答えのほうが、人間が運営し「絶対に落ちない答え」があるかのように装うアカウントよりよっぽど筋がいい。

この答えからもわかるように、AIに対しても、きちんと自己開示をし、自分の情報を入力しなければ、最大公約数的な回答をくれるのみである。型をもらったり、事例を集めたりして、ESはそれなりの体裁を保てたとしても、面接では、自分の感覚に基づいてESを補足するような言葉を紡げなければ内定には至らない。

AIをES作成に使用する際は、あくまで自分の目的に合わせて、有効利用する能力が必要とされており、それが結果の差を生むのである。相手が人だろうとAIだろうと、“いい質問ができる人”が優秀なのは、どんなツールが出てきても変わらない。

“素材”で差別化してこそのAI

また、現状のAIの文章作成は、最初の段階では、ある程度型にはまった文章が出てくるので個性を出しづらい。採用側としては、AIに書かせたかどうかの判断まではつかなかったとしても、少なくとも見慣れたタイプの文章にはなるはずだ。

就活生の立場に立てば、ある程度、個性や独創性が求められる企業を受ける場合は、AIに最初に書いてもらったものを再調整し、“加工”していく必要があるだろう。

逆に言えば、どちらかというと画一的な人材を大量採用したいような企業を受ける場合は、変に個性を出して嫌がられるよりも、AIに任せてしまったほうが得策という言い方もできる。最大公約数的な回答はすぐに出してくれるので、それに乗っかってしまえば、カドのない標準レベルの人材を装うことは容易だ。

AIが担う、“加工”の話を続けてきてしまったが、もちろん、AIに何を入力するかが大事なのは言うまでもない。他者との差別化は、“加工”ではなく、“素材”の部分でこそできると考えれば、やはり各々がどう生きてきたかが重要になるという就職活動の根本は変わらない。

どんなにツールが進化しても、他人の人生は“カンニング”できないのである。

霜田 明寛 ライター/「チェリー」編集長

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しもだ あきひろ / Akihiro Shimoda

1985年・東京都生まれ。早稲田大学商学部在学中に執筆活動をはじめ、2009年発売の『テレビ局就活の極意 パンチラ見せれば通るわよっ!?』を皮切りに、3冊の就活・キャリア関連の本を執筆。企業講演・大学での就活生向けセミナー等にも多く登壇し、自身の運営する就活セミナーからも累計100名以上のアナウンサーを輩出している。また、編集長を務める『文化系WEBマガジン・チェリー』や雑誌などで記事を執筆。映画監督や俳優を多く取材し、トークイベントの司会なども担当する。自身の観点でドラマ・映画等を紹介するVoicy『シモダフルデイズ』は累計200万回再生を越える人気コンテンツに。ジャニーズタレントの仕事術をまとめた4作目の著書『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)は3万部を突破している。
Xアカウント:@akismd

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