「AIにES(履歴書)を書かせる就活生が急増」それを“けしからん”と言う人のほうが間違い…《AIに経歴を"加工"させる》学生が優秀であるワケ

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AIの使用に関してはさまざまな場所で議論が起こっているが、上智大学が2023年3月に発表したように、論文などの課題提出のために学生がAIを使うことを禁止する大学も存在する。

AIの活用をあらゆる場面で認めないという考えではないものの、これはAIの使用を「カンニング」と扱う人事の思想に通底するものを感じる。

だがその一方で、最近では「AIを上手に使いこなせる人が優秀」という認識が、大学や企業でも広まってきている。

たとえば東洋大学の情報連携学部では、レポートを書く際にAIの使用を必須とする授業もある。その際は、学生にどのような指示をAIに出したかを明記することを求めていて、使い方も含めて評価される。

インターネット企業・GMOでは『ChatGPT業務活用コンテスト』という従業員向けのコンテストを開催しており、その賞金総額は1000万円超だという。優れたプロンプト(AIに指示をする文章)は社内でも共有されているといい、AIを上手に使いこなせる人材は、業務効率化等の観点からいっても、企業としても重宝するはずだ。

「絶対に落ちない答え」を薦める人間より筋がいい

ちなみに、大学生と企業とで比較した場合、大学生は68.2%が「生成AIを使ったことがある」と答えたのに対し、企業は「メールや議事録作成など業務で使用中」と答えたのが46.8%と(※1)、企業よりも大学生のほうが生成AIの使用に慣れ親しんでいると言っていい状況だ。

また、言うまでもなくAIは日々進化しており、AIに何を任せるべきか、どこまで人間がやるべきかのラインは刻々と変わってきている。日々変わっていくものを掴むのは、流行に敏感な若者である就活生が得意なことだ。

むしろそれこそが、新しい技術を取り入れることに疎い、年配の社員たちとの差異を生み、価値を出しやすい部分でもある。企業にとっても「新しい感覚を取り入れる」という意義がある新卒採用において、必要な感覚の1つだろう。

だが、もちろん、何でもAIを使い、任せっきりにしてしまう就活生が優秀かと言えばそういう話ではない。

ためしにChatGPTに「就職活動における自己PRを考えてください」という、優秀ではないタイプの学生がしてくる質問を投げかけてみたら、「一例をあげますので、ご自身の特徴や経験を踏まえて調整してください」という答えが返って来た。まったくもってその通りである。

※1:大学生に関しては全国大学生活協同組合連合会による全国の大学生1万1000人あまりに聞いた調査、企業に関しては総務省による国内企業220社を対象にした調査による。ともに2024年
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