〈インタビュー〉マーケティング会社「刀」の森岡毅CEOに「ジャングリア沖縄の開業」「イマーシブ・フォートでの試行錯誤」を聞いた

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USJにいたときに(運営会社に出資していた)ゴールドマン・サックスを怖がりながら、やったときと同じモードだ。でもあのときの僕は、成功じゃなかったと思っている。確実に打てる球しかバットを振らなかったからだ。1発でも外してファンドがお金を引き上げるのが怖かった。

ポートフォリオの中では10発打ったら2、3発失敗したほうがいい。2、3発の失敗を許容すればホームランも打つようになる。2、3割の失敗を許容する会社を刀で作りたいと思った。

中長期のキャッシュフローで考え、ある程度のリスクを取ったほうがいい。2つ目は、実業(自社事業)でめちゃくちゃリスクを取っている。社会に必要で誰かがやらないといけないような大義があってリスクが高いことなどだ。

沖縄のパークが最たるものだ。誰も沖縄に大型パークを造ったことがない。普通に考えたらリスクが高いが、僕らなら勝ち目が大きくできるところまで持っていけるんじゃないかと。

「イマーシブ・フォート東京」では、「誰もやったことがないエンターテインメント」というリスクを取った。没入型のエンターテインメント、何なのかわからないでしょ。

イマシーブ・フォート東京
イマーシブ・フォート東京は刀が2024年3月に商業施設「ヴィーナスフォート」の跡地に開業した。来園者が場内を回遊し、時には物語に参加しながら作品世界を楽しむイマーシブ(没入型)を打ち出したが、事業としては減損処理。森岡氏は「べらぼうに高いレッスン料を払っている」と語る(編集部撮影)

攻めている中で数十億円の赤字は問題ない

――体験しないと価値がわかりません。

体験しないと価値がわからないものに対して、「没入型のテーマパークに行ってみたいと思うか」という調査で出てきた需要予測の数字を信じられるか。

簡単に言うと、ディープなイマーシブ(没入型)体験に3割、ライトなイマーシブ体験には7割の人が行きたいとそれぞれ答えた。

本当かどうかわからないという議論をしたが、補正するデータがないのに、違う想定を立てる蓋然性がない。ディープ3割、ライト7割で設計して蓋を開けてみたら、これが逆だった。

――外れることもあるんですね。

ある。だからビジネスは面白い。僕らはこのイマーシブのデータが欲しかった。人様のお金でやったらえらいことだが、僕らの間尺の中、バランスシートの中なので。

実は、最初から大家さんとの契約で借りる期間は有期なので、イマーシブ・フォート東京は数年しかできない。1年でガラッと変えてしまうと、もともとの事業計画は減損処理しないといけないし、大赤字が出る。

普通はやらないが、僕らは学ぶためにやっている。ディープ7割、ライト3割にしてみて、新しいデータを取りにいった。

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