シャオミにとって、EV事業の急成長がもたらす増収効果は大きい。2025年1~3月期の決算報告書によれば、同四半期のEV事業の売上高は181億元(約3666億円)に上った。

販売好調に伴う量産効果で利益率も改善している。決算報告書によれば、EV事業を含む「イノベーション事業」セグメントの1~3月期の営業損益は5億元(約101億円)の赤字だったが、損失額は2024年10~12月期の7億元(約142億円)から3割近く縮小。また、同セグメントの1~3月期の粗利益率は23.2%と、10~12月期の20.4%から2.8ポイント改善した。
ちなみに、代表的な新興EVメーカーの1~3月期の粗利益率は理想汽車が19.8%、小鵬汽車(シャオペン)が15.6%、蔚来汽車(NIO)が10.2%と、いずれもシャオミを下回っている。
ADASの安全性めぐり議論も
注目すべきなのは、YU7は「NOA(ナビゲート・オン・オートパイロット)」と呼ばれる高性能の先進運転支援システム(ADAS)を標準装備するにもかかわらず、雷CEOがイベントで派手な宣伝をしなかったことだ。その代わりに雷CEOは、シャオミがEVの安全性をいかに重視しているかを強調し、電池や車体構造の安全技術について説明した。
その裏には、2025年3月末に起きた痛ましい事故の影響がある。NOAを作動させて安徽省の高速道路を走行していたSU7が中央分離帯に激突して炎上し、乗っていた3人が死亡したのだ。
(訳注:事故車のADASは前方の障害物を検知してドライバーに警告を発し、手動運転モードに切り替えたが、回避が間に合わなかったとされる)

この事故をきっかけに、中国ではADASの安全性をめぐる激しい議論がネット上などで交わされた。その焦点の1つは、自動車メーカーがADASの性能や安全性を誇張し、消費者を誤認させた疑いについてだった。
しかし雷CEOは、この事故について公の場で触れるのを避けている。また、シャオミは事故の直後に開示した(ADASの動作記録などの)データを除き、より詳しい情報を明らかにしていない。
(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は6月26日
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