フィリピン「鉄道員育成施設」日本が支援する背景 地下鉄の基地に設置「日本式」で安全意識浸透
ホーム2面と3本の線路が敷設される予定で、1線は非電化路線を想定したものになるという。ホームは実際の駅と比べると短いが、地下鉄の車両(8両編成)を2分割して訓練を行うといい、地下鉄車両の編成は容易に分割できるような構造にしているそうだ。また、上層階には宿泊スペースがあり、フィリピン全土の鉄道員養成を想定していることがわかる。

一方、組織としてのPRIの設立と指導員の育成、カリキュラム作成などを伴う「フィリピン鉄道訓練センター設立・運営能力強化支援プロジェクト」は2018年5月にスタートし、こちらは2024年7月に完了した。同プロジェクトはJICAの技術協力プロジェクトとして実施され、オリエンタルコンサルタンツグローバル・東京メトロ・アルメックVPIが受注した。カウンターパートはフィリピン運輸省だ。
日本式だが「現地仕様」のカリキュラム
プロジェクトは法的な組織の設立や鉄道人材をどのように育てていくかといった国の制度づくりから始まり、研修計画やカリキュラム、教材の作成が進められた。また、フィリピン側からは研修のみではなく訓練そのものに関する研究もしたいという話もあり、日本で鉄道関係の研究機関がどのようなことを行っているかの紹介もしてきたという。
こういったやり取りを経て、PRIの役割はR&D(鉄道人材育成に関する政策の研究や提案)、レギュレーション(規制・認定制度の策定、各鉄道事業者の研修に対する指導・監査)、トレーニング(各鉄道事業者共通の研修実施、技能認定)の3つが柱となった。
谷坂氏によると、東京メトロはとくにカリキュラムや教科書の作成といった研修の中身に関わってきたという。といっても、カリキュラムは日本のものをそのまま持ち込むのではなく、フィリピンの事情に即したものが導入されている。
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