中国発ラブブ「2027年にハローキティ超え」がおこがましすぎる理由。《狂乱相場崩壊?》“転売ヤー”の阿鼻叫喚
ラブブは実は、MOLLYの影に隠れて目立たなかった古参IPでもある。もともとは香港のデザイナー龍家昇氏が絵本向けに生みだしたキャラクターで、POP MARTが2018年にライセンスを得てグッズ化した。
長い雌伏(しふく)の期間を経て2024年に突然ブレイクしたのは、POP MARTのグローバル展開とも密接に関係している。
2018年に海外展開に着手した同社は2024年に出店を加速。同年はベトナム、インドネシア、フィリピン、イタリア、スペインに1号店をオープンしたほか、バンコクや米サンティアゴなどに旗艦店を出し、海外店舗は50店増加して130店舗に達した。
2024年に初めて海外売上高を公表し、全体の4割を占めるまで成長していることも明らかになった。東南アジアを中心に海外で存在感が高まったことで、グローバルで活躍するセレブに“発掘”されたというわけだ。
「利回り」のいい投資商品
2024年のラブブの記録的ヒットと海外市場の成長によって、POP MARTの株価は今年に入って3倍に上昇した。時価総額は7月2日時点で約3540億香港ドル(約7兆1860億円)と、サンリオ(約1兆6900億円)を突き放す。
JPモルガンは5月、ラブブとサンリオの看板キャラクター「ハローキティ」を比較したレポートで「ラブブの成長率はハローキティの初期段階を上回り、さらにポテンシャルがある」と指摘。ラブブを含めたザ・モンスターズシリーズの2025年の売上高は140億元(約2800億円)に達すると見通した。
レポートはさらに、ラブブの人気が2027年にハローキティに追いつく可能性があると予測している。
これまでPOP MARTとのコラボTシャツを数度にわたって販売してきたユニクロも、「ザ・モンスターズ」とのコラボTシャツを8月中旬に発売する。日本でも争奪戦になるかもしれない。

熱を帯びるばかりのラブブ人気だが、POP MARTおひざ元の中国では他の国と違う様相を呈している。
セレブが紹介してブームになったため、インスタグラムではそれを真似て、エルメスやルイ・ヴィトンのバッグにアクセサリーとして飾った画像が多数投稿されている。ラブブを好きだからというよりは、10年前のiPhoneのように「トレンド」と「見栄」の象徴のような存在になった。

ラブブのアートトイ自体は1体50元~(約1000円~)だが、中古市場では数倍、レアアイテムは数十倍に高騰した。6月初めに中国で開催されたオークションでは、ラブブの初期の一点もの等身大フィギュアが108万元(約2160万円)で落札された。オークションには生後9カ月の乳児も参加者として名を連ね、世間を驚かせた。
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