【アニメ映画頂上決戦を制すのは?】映画「鬼滅の刃」新作が7月18日ついに公開!立ちはだかるはコナン「150億円」、前作「400億円」の高い壁

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一方、『鬼滅の刃』シリーズは、前作こそ社会現象となり、一般層を取り込んだものの、その後の劇場版を見ると、観客がコア層に絞られているように見受けられる。

もちろん、テレビアニメの再構成版ということが要因のひとつとして大きいが、それとともに、作品内容が戦闘アクションシーン中心のストーリーになることで、コア向けに寄っているように映る。

テレビアニメシリーズを観ると、物語の半分以上が戦闘シーンになることもある。シリーズによっては、それが1カ月ほど続くので、物語性を楽しむドラマファンなどの一般層はとっつきにくいのかもしれない。

また、子ども向けのような明るく楽しい演出もあるが、根底にあるのは鬼と人間の生き残りをかけた闘いであり、家族を惨殺された主人公の復讐の物語というダークな世界観だ。ゆえに、観客を選ぶ作品でもあるのだ。

加えて、原作は完結しており、劇場版の物語の結末は公になっているところも、毎回の謎解きストーリーに楽しみがある劇場版オリジナルの『名探偵コナン』とは異なる。

不死川実弥
不死川実弥(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

そして、最終章が3部作であることも、一般層のハードルを上げている。1本で結末まで観られないことは、ライト層にとってはストレスになる。逆に、コア層にとっては楽しみが増えて喜ばしいに違いない。まだ映像化されていない原作の残り3分の1ほどを、独特な映像美のアニメーションならではの物語として、じっくりと描き上げていくことへの期待が高まるだろう。

このあたりからは、一般層に寄せることなく、作品そのものの性質や特徴を貫く、制作陣の作家性へのこだわりといった“魂”を強く感じる。だからこそ、前作のように、ただおもしろいだけではない、いまの社会や世の中への問いかけがある、メッセージ性を有する作品が生まれる。

もちろん一般層を切り捨てたわけでも、商業性を考慮しないわけでもないだろう。しかし、それ以上に作品の本質や芸術性を追求している。それは一見コアファン向けのようだが、そんな作品にこそ宿る力が一般層にブレイクスルーし、より大きなヒットを導くこともあるのだ。

『鬼滅の刃』には“常識外れのポテンシャル”がある

劇場版「鬼滅の刃」
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』7月18日全国公開(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

7月18日に公開日が迫るなか、関係者に聞くと「興行の予測が難しい」と口を揃える。その背景にあるのが、『鬼滅の刃』シリーズの計り知れないヒットポテンシャルだ。

近年の劇場版の興収に鑑みれば、“コナン超え”は難しいと思われる。しかし、前作の興収400億円超えは、時勢の追い風があったとはいえ、そもそもの作品力がなければ、到底生まれるものではない。

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