「20年前の中高生のほうが賢かった!?」“過去最高の学習環境”が招く学力低下の落とし穴

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もちろん当たり前の話ですが、これは「どこを切り取るか」という話でしかありません。科目や調査対象によって大きく結果が変わってくるのは当然ですから、一概に「今の学生のほうが賢くない」と言うことはできません。ですが、全体的な傾向として、今の学生のほうが学力的に落ちている面があるのは事実です。

学習環境がよくなっても学力があがっていない

例えば、OECD生徒の国際学習到達度調査(PISA)のデータでは、15歳の学生に対して調査を行っています。読解力のスコアは、2000年の日本の結果が平均スコア522点だったのに対して、2022年には516点まで下落しています。

「数学リテラシー」という項目でも、2000年の557点から急落して世間に衝撃を与えた2003年の534点から盛り返すことができず、2018年には527点、2022年には536点と低空飛行を続けています。

PISAのデータ以外でも、学習状況調査や模試の結果などで見ても、昔と今で比べて、学力はそんなに上がっていない、むしろ下がっているのではないか、という見方が強まっています。

では、なぜ学習環境がよくなっても学力が高くなっていないのでしょうか?

これにはいろいろな理由が考えられます。スマホの普及が大きな要因になっているのではないかという見方をする専門家もいますし、入試形態の変化の影響だという分析をしている教育関係者もいます。

そんな中で、僕は「与えすぎ」と呼ばれる現象なのではないかと思っています。植物に水をあげすぎるとかえって枯れてしまうように、今の学生たちに対して、大人が情報や答えを与えすぎなのではないか、と。

例えば、今の参考書には、たくさんの情報が載っています。英単語帳1冊でも、昔は書いていなかったような、英単語の類義語や反対語・覚え方のコツやポイント、例文に発音まで、すべてが網羅された完璧な参考書が多いです。

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