IQは平均120!驚異の幼稚園は何が違うのか 幼児の持つ限りない潜在力を引き出す

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独特の音感教育を取り入れている

だが、こうした教育法は導入当初、親たちの反発を呼んだ。

「『教え込み、先取りではないか。こんなことをさせるために幼稚園に入れたわけじゃない』と」

小泉園長は当時を振り返る。戦後の日本の教育は、「子どもは自由に、のびのびと育てるのがよい」という自由教育が主流。「『早教育』という言葉には、非常にネガティブなイメージがあった」(小泉園長)。東京いずみ幼稚園の教育方法もこうした早教育の一貫ととらえられたのだ。

みるみるうちに現れた、子どもたちの変化

東京いずみ幼稚園の小泉園長

親の反応を尻目に、子どもたちにはみるみるうちに変化が表れた。とりわけ、毎朝の出欠を取る時間を子どもたちは特に喜んだ。漢字で名前を書いたカードを見せながら、ランダムに名前を呼んでいくと、驚くほどの集中力を見せたという。3歳の子どもが1週間のうちに、漢字で書かれた自分の名前を読むようになり、2週間もすればクラスメートの名前を読むようになった。

こうした独自の教育は「人の話を集中して聞き、理解する力につながる」と小泉園長は言う。子どもたちが先生の話をすぐに理解するので、音楽会や運動会も少ない練習時間で結果を挙げられるようになった。早教育のネガティブなイメージは徐々に変わっていった。「ソニー創業者のひとりである井深大氏などが、幼児期の教育の重要性を説いたのも転機となった」(小泉園長)。

いまや、幼児期における教育の重要性は世界的に認知されている。教育を「科学」する――。これまでの日本の教育議論に不足していた部分だろう。週刊東洋経済は10月24日号(19日発売)の特集『教育の経済学』で、その最前線を追っている。

東京いずみ幼稚園の卒園児のIQ(知能指数)は平均で120以上。一般的には100が平均といわれており、いずみ幼稚園卒の園児のIQは高い。「幼児期に教育をすれば、“できない子”は生まれない」(小泉園長)。こうした教育方式が反響を呼び、練馬区から1時間半をかけて3年間通学する子どもも出てくるほどだ。東京いずみ幼稚園の事例は、幼児の持つ限りない潜在能力を感じさせる。

(撮影:梅谷秀司)

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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