3年間で延べ500人以上が参加した、KDDIの視覚障害者向けスマホ教室。VoiceOverとSiriで画面を見ずにiPhoneを操作
KDDIは聴覚障害者向けやシニア向けの教室は開催していたが、視覚障害者向けは皆無だった。2022年2月から始まったこの教室は、3年間で延べ500人以上が参加。参加費は無料で、現在は現在は藤沢市や横須賀市で年6~10回のペースで開催、山梨県や北海道での開催実績もある。
教材には最新のiPhone 16eを採用した。VoiceOverと呼ばれるiOSの画面読み上げ機能と、音声アシスタントSiriを組み合わせることで、画面を見ずに操作が可能になる。
「今から帰ります」「お味噌買ってきて」――夫婦という設定で、参加者同士がLINEメッセージをやり取りする。文字入力は不要。Siriに話しかけるだけでメッセージが送信される仕組みだ。
特に印象的だったのは、LINEビデオ通話を使った実用例だ。60代の女性参加者が手にしたスープのパッケージをカメラに映すと、晴眼者の講師が「クノールのコーンクリームスープですね。賞味期限は2025年8月です」と読み上げる。カレールーやシチューの素など、同じ大きさの箱で区別がつきにくい商品の確認に活用できる。

「近くの交番は?」とSiriに尋ねると、「石川交番です。西に約3kmのところにあります」と即座に回答。電話をかけるか道順を調べるかも選択できる。本当に困ったとき、電話番号を知らなくても助けを求められる仕組みだ。
AIが変える「見えない」の概念
講座では、Apple Intelligenceのビジュアルインテリジェンス機能も紹介された。左側サイドボタンの最上部にあるアクションボタンを押すと、カメラが起動してChatGPTによる画像解析が始まる。「これはクノールのトマトのポタージュです。完熟トマトまるごと1個分が使われています」と、パッケージの詳細情報まで音声で教えてくれる。晴眼者の助けを借りずに、AIの力で商品情報を確認できる時代が到来した。
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