3年間で延べ500人以上が参加した、KDDIの視覚障害者向けスマホ教室。VoiceOverとSiriで画面を見ずにiPhoneを操作
災害時に道を見失っても、家族に「今ここだ」と知らせられる。その力を支えるのが位置情報サービスだ。講座では、LINEグループ「三太郎」に位置情報を送信し、「誰かこの場所に迎えに来て」というメッセージを添える練習を行った。左から右へのスワイプで画面を進み、「添付メニュー」「位置情報」と読み上げたところでダブルタップ。慣れるまでは難しいが、命を守る重要な機能だ。

視力が低下した男性参加者は「新聞記事も音声で聞けるようになった。目の衰えを耳でカバーしたい」と話す。講座終了後には「指のタッチの感覚がなかなか取れずに、そちらに神経がいってしまった」と反省しつつも、音声操作の可能性に期待を寄せた。
女性参加者は「AndroidとiPhone使ってみて、iPhoneは便利だなと感じた」と評価する一方、「新しい機種に乗り換えるのが不安要素。視覚障害者が教えてもらえるところは少ない」と課題を指摘した。
佐嶋氏はうなずきながら続けた。「ある参加者から『私も捨てたもんじゃない、生きていこうと思った』という感想をいただいたときは、本当に胸が熱くなりました」。山梨県での教室では、夫婦で参加した妻が「主人がこんなにウキウキして笑顔で講座を受けている姿を見て嬉しかった」と涙ぐんだという。
触覚で操作を支援するサポートシール
指先で「ここだ」とわかる安心感。KDDIは5月から視覚障害者向けに「スマホ操作サポートシール」の提供を開始した。透明な凸シールを画面に貼ることで、触覚的な目印を作る仕組みだ。ホームボタンがないiPhoneでは、画面下から上へのスワイプでホーム画面に戻るが、その位置を把握するのは容易ではない。シールがあれば、指先の感覚で正確な位置を見つけられる。

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