見えてきた韓国・李在明政権の「実用外交」の中身、対日政策では「反尹錫悦」より「非文在寅」、歴史問題は「屈辱外交」から「小さな違い」へ
日韓ともに対外的な発表では控えたが、日韓双方の政府関係者によると、李氏は自ら、政権交代があっても外交問題は一貫性が求められると切り出した。それに加え、首脳同士が互いの国を行き来し合うシャトル外交の継続を石破氏に持ちかけた。
宿敵である前任者、尹錫悦(ユン・ソンニョル)・前大統領の名前こそ出さなかったものの、日本政府側からすると、尹政権の路線はほぼそのまま引き継ぐと間接的に示しているようにも受けとれる発言だった。
徴用工解決策を事前に容認か
この日韓首脳電話会談に先立つ2025年6月4日、つまり大統領就任日にその伏線はあった。李氏は記者会見で、被告の日本企業に代わって韓国の財団が賠償を肩代わりする徴用工問題の解決策を今後も維持するのか、と問われた。
この質問に李氏は「国家間の信頼という問題を考慮しないわけにはいかない。国家政策では個人的な信念を一方的に押しつけたり、貫徹したりするのは簡単ではないのが現実だ」と述べ、解決策を変更しない考えを示唆した。
日本政府関係者らは、こういった考えを首脳同士の電話会談で直接言及するかどうかに注目していたが、李氏は石破氏に明言した。
さらに初対面となったG7議長国カナダでの日韓首脳会談。冒頭の発言で李氏は、また特筆すべき表現を口にして、今度は韓国政府の関係者を驚かせた。
李氏は「(日韓間に)小さな違い、意見の違いがあるが、その違いを超えて、両国がさまざまな面で互いに協力し、発展させていくことを期待している」と述べた。
日韓のはざまに、今も大きく横たわるのは歴史問題にほかならない。かつて尹政権が決断した徴用工問題の解決策を「屈辱外交の佳境に入りつつある」とこきおろした李氏だが、初対面でのリップサービスだとしても「小さな違い」と述べたことの意味は大きい。
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