見えてきた韓国・李在明政権の「実用外交」の中身、対日政策では「反尹錫悦」より「非文在寅」、歴史問題は「屈辱外交」から「小さな違い」へ
そのため、李氏の対日発言が柔軟になったといっても、いずれ歴史・領土問題で正面から対立することが不可避なら、信頼を積み上げていくのは難しいとの見方が、いまも日本政府内に根強い。
李氏、日韓双方にサプライズ発言を連発
李氏はいまも、2トラックを引っ込めたわけではない。しかし、大統領就任前後から、日本政府のみならず、韓国政府の実務当局者たちをも驚かす言動を続けている。
その1つは、大統領就任から5日後に開かれた日韓首脳の電話会談だ。
日本政府は、まず李氏は同盟国であるアメリカのトランプ大統領と電話会談を済ませない限り、他の首脳との日程は組みにくいだろうと察し、順番を待っていた。さらにその順序はアメリカの後に中国が続き、3番目に日本ではないかと予測していた。
米中首脳の電話会談は2025年6月6日にあった。就任から2日経っていたため、韓国の一部メディアからは、トランプ政権が左派の李氏を歓迎していないからではないか、との観測も出たが、米中首脳の電話会談の日程が定まらないために遅れただけだった。
米韓会談があった3日後の6月9日、中国より先に日韓首脳が電話会談した。韓国政府関係者によると、李政権内で日本と中国、どちらと先に会談すべきか、意見が分かれたが、結局は日本が先んじた。この判断には、外交官出身の魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長の意向が強く反映したという。
ただ、順番以上に日本側が驚いたのは通話の内容だった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら