見えてきた韓国・李在明政権の「実用外交」の中身、対日政策では「反尹錫悦」より「非文在寅」、歴史問題は「屈辱外交」から「小さな違い」へ

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韓国政府の一部には、李氏が単なる思いつきで、その場しのぎの発言をしているわけではなく、戦略的に順を追って進めているとの認識がある。その最も象徴的なできごとは、徴用工問題の解決策の核心ともいえる、日本企業に代わって被害者らに賠償にあたる財団の問題だ。

韓国司法が次々に日本企業に賠償を求める判決を確定させる中、財団は深刻な資金不足に陥っていた。

だが韓国憲法裁判所が尹氏の弾劾・罷免を決定し、次期大統領選が実施されることが決まっていた2025年4月中旬、1つのニュースが駆け巡った。大韓商工会議所と韓国経済人協会が財団に、それぞれ15億ウォン(約1億5000万円)ずつを寄付したことがわかったのだ。

「商人の現実感と書生の問題意識」

当時すでに各種世論調査では、大統領選予想で李氏が圧倒的有利な支持を得ていた。徴用工問題の解決策を「屈辱外交」呼ばわりした李氏の政権が誕生する可能性が高い中、韓国の主要経済団体が李氏の意向を無視して、大きな政治的決断をすることができるのか。

この事情を知りうる韓国政府幹部に、李氏が事前に寄付を容認したのか尋ねると、明言を避けたうえで「はっきり言えることは、李氏の実用外交は極めて戦略的ということだ」と述べた。

さらにこう続けた。「(6月4日の)会見で取り上げた金大中(元)大統領の話がとてもシンボリックだ」。

李氏はこの会見で「金大中(元)大統領が、商人の現実感と書生の問題意識を持ってこそ立派な政治家になれると言った。韓日関係もそんな実用的観点が必要だ」と強調した。

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