「 先祖代々の土地だけに、安易に売るわけには…」、相続で直面《不動産を守り続けることの難しさ》。別の視点や発想の転換で問題を解決!

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呪縛1「先祖代々の土地だけに、安易に売るわけには…」→本当に残したいものを残せなくなってはいけない!

不動産を相続する際、それが先祖代々受け継がれてきたものであれば、「自分の代で売却してしまっていいのか?」という迷いや葛藤が生じるのは自然なことです。「できれば売らずに守り続けたい」と考える方も多いでしょう。

しかし、現代の社会環境や制度を踏まえると、すべての不動産を守り続けるのは現実的に難しい場合が多いのが実情です。

その理由の一つが、日本の相続税や固定資産税の負担の重さです。さらに、遺産を均等に分ける必要がある「遺産分割」のルールも、すべてを守ることを難しくしています。

明治31 (1898)年から昭和22(1947)年まで施行された家督相続制度(親の財産はすべて長男(長子)が相続するという旧民法に基づく制度)があった時代であれば可能だったかもしれませんが、今は時代が違います。

また、人口が増加していた2010年頃までと、減少が続くそれ以降では、不動産を取り巻く環境も大きく変化しています。これまで十分な収益を生んでいた不動産でも、周辺環境の変化や老朽化によって、収益を生まないどころか維持費や修繕費がかさみ、赤字を生むケースが増えています。

こうした状況を踏まえると、「別の視点」や「発想の転換」を取り入れることが必要になってくるかもしれません。

「別の視点」「発想の転換」とは?

相続において、先祖代々の不動産を守り続けることが難しい理由についてお話ししましたが、それでも解決策がないわけではありません。大切なのは、従来の価値観にとらわれず、「別の視点」や「発想の転換」を取り入れることです。

ここでは、その具体的な考え方や方法を3つのポイントに分けて説明していきます。

「別の視点」「発想の転換」
①「本当に残したいもの」を明確にし、取捨選択を行う
②「形を変えて残す方法」を考える
③「家族の仲」を優先し、「争いの種」を残さない

①「本当に残したいもの」を明確にし、取捨選択を行う

相続税や固定資産税、維持管理費を考慮すると、すべての不動産を残すことは現実的には難しい場合があります。

たとえば、次の2つの不動産があった場合、どちらを優先して残すべきと考えるでしょうか?

A:立地が良く、収入が安定し、価値が高い

B:立地が悪く、収益が低く、維持費がかさむ

通常、Aを残す選択をするのが合理的でしょう。Aは所有者本人が存命中も安定した収入をもたらし、相続する側にとっても魅力的な資産です。

しかし、Bも含めてすべてを残そうとした結果、収支が悪化し、最終的に価値の高いAまで手放さざるを得なくなってしまえば、元も子もなくなり、大きな損失につながります。

こうした事態を避けるためには、「本当に残したいもの」を早めに見極め、取捨選択することが重要です。

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