中国自動車メーカーが「支払い期間」短縮宣言の怪 「60日以内」を約束、裏に中国政府からの圧力

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中国自動車市場では2023年から激しい価格競争が続き、今も収束する兆しがない。そんななか、完成車メーカーはコストダウンを追求し、部品メーカーに対して値下げ圧力をかけ続けているのが実態だ。

完成車メーカーの支払いサイト引き延ばしに、部品メーカーは不満を募らせてきた。写真は完成車の組み立てラインの側に設けられた部品のストックヤード(上海汽車集団のウェブサイトより)

それだけではない。部品メーカーの多くは、完成車メーカーが支払いサイト(訳注:取引の締め日から実際の支払いまでの期間)を引き延ばしていることに不満をつのらせてきた。

主な完成車メーカーの決算報告書を見ると、取引先への支払いサイトはおしなべて120日を超え、中には200日近いケースもあった。

約束履行に懐疑的な見方も

支払いサイトの延長は部品メーカーの資金繰りを悪化させ、利益を圧迫している。財新記者の取材に応じたある部品メーカーの社員は、「完成車メーカーが支払い期間短縮の約束を速やかに履行し、60日後にキャッシュで確実に代金を支払ってもらいたい」と訴えた。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

一方、別の部品メーカーの社員は、約束の履行について「現在の(過当競争が続く)市場環境下では困難だろう」と懐疑的な見方を示した。支払いサイトの短縮は、完成車メーカーにとってコストアップを意味するからだ。

ある完成車メーカーの関係者は、財新記者の取材に対して次のように本音を漏らした。

「自動車市場の過当競争が変わらなければ、部品メーカーに対してさらなる値下げを迫る(ことでコストアップを吸収する)か、部品の検収期間を長引かせる(ことで支払いサイトを実質的に延ばす)可能性がある」

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は6月11日

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