「汚ねぇんだよ!」梅雨時に電車内で起こる“傘ツンツン”トラブル。なぜ当事者は傘が当たっていることに気づかないのか?

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持ち方によって、傘や水滴が他人に触れていることに気づいていない人が数多くいるのだろう。

問題視された傘の「横持ち」

かつて傘の持ち方で問題視されたのは「横持ち」だ。傘の真ん中あたりを手で持つ「横持ち」は、2020年にある眼科医が、目に傘先があたった場合、視力を失うこともあるかもしれないのでやめてほしいとTwitter(現在のX)でつぶやき、バズったこともある。

「横持ち」はたしかに危険が伴うが、「傘先ツンツン」は、イライラ以上トラブル未満といったところか。

傘ツンツンに私たちがイライラしてしまう心理について、パフォーマンス心理学の第一人者である佐藤綾子さんは「電車内では理想とする対人距離の理想を保てないことが原因」と話す。

対人距離とはパーソナルスペースと言われ、アメリカの文化人類学のエドワード・ホールが、「密接距離」(0~45cm)、「個体距離」(45~120cm)、「社会距離」(120~360cm)、「公衆距離」(360cm以上)と分類。

それぞれの距離は、相手との関係性や、コミュニケーションの目的に応じて使い分けられる。

この対人距離の研究のひとつとして、佐藤さんは電車内で「保ちたいと思う距離」を調査した。

「小田急線の新宿~小田原駅間、西武新宿線の新宿~本川越駅間で、どのくらいの対人距離がほしいかという調査を各1000人、合計2000人に実施しました。

『他人・電車の中』で理想としている距離は、男性が89センチ、女性は108センチでした」(佐藤さん)

男女ともに「理想の距離」は、意外と長い。混雑した都会の通勤電車では理想の対人距離は保てず、さらに雨の日は傘がそのパーソナルスペースに侵入し、傘先がツンツンしてくる……これではイライラするのも当然だろう。

「最近のビニール傘は60センチ以上のものが多く、100センチの大判もあります。傘を腕にかけて持つと、その先端は自分の体から離れます。長ければ長いほど離れる。

スマホなどを見て手元に注意していると、傘の先端までは注意が届きません。でも、その傘の先端は、大幅に『理想の距離』をはみ出ています。

手や肘が他人の体に当たっていたらハラスメントと捉えられかねませんが、傘先だからといっていいわけがないので注意が必要です」(佐藤さん)

あなたの傘先は、もしかしたら「理想の距離」から大幅にはみ出しているしているかもしれません。ご注意を。

(AERA編集部・太田裕子)

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