「ポケモンとドラゴンクエストがバチバチ」「でも他のタイトルも侮れない」 人気コンテンツが続々参入の位置ゲー、大混戦の”本質的な理由”

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一方で「ドラゴンクエストウォーク」は「全滅すると所持金(ゴールド)半分」という伝統的なスタイルをあえて導入せず、フルオートでバトルしても「死に放題、生き返り放題」。スマホをポケットに突っ込んで歩いても経験値が上がるスタイルを作り上げた。ゲームとしての縛りを緩くして手ブラ操作を実現したことが、忙しい社会人ユーザーを獲得できる要因ともなったのだ。

イベント
2017年「ポケモンGO」リアルイベントの様子。かなりの人々が下を向いている(筆者撮影)

また、ポケモンGOは行動範囲の広いアクティブユーザー獲得を目指して「リアルイベント」を開催したものの、「交通集中でまち全体がパニック」「電波障害でスマホが満足に使えない」といった事態を引き起こし、絶大な経済効果がネガティブなイメージに打ち消された感がある。

一方で、ドラゴンクエストウォークも第1回のリアルイベントでは問題が多かったものの、2回目以降の開催では移動中継局の設置・チケット制による人数管理など次々と対策を施し、大きな問題を引き起こさなくなった。

こういった問題点を機敏に修正するのは当たり前の話で、全般的なゲーム改善に腰が重かった「ナイアンテック」と、日本のゲームユーザーを熟知したうえで機敏に修正した「スクウェア・エニックス」といった体制の違いが、差をつけられる要因になったように見えてならない。

順調にゲームを運営できているとは言い難かったナイアンテックも、2025年には「ポケモンGO」「モンスターハンターNow」などの位置情報ゲームを事業部や開発部門ごと、アメリカのスマホゲームメーカー「Scopely(スコープリー)」への売却を発表した。度重なる不手際でプレイヤーとの間に溝ができてしまった「ポケモンGO」が体制変更でよみがえるか、要注目だ。

ゲームハードからスマホアプリへ 次世代に残るための「コンテンツ代理戦争」

メタルスライム
各ゲームはAR機能で、キャラクターと写真を撮れる機能を搭載している。写真はメタルスライム(筆者ゲーム画面より保存)

いまの位置情報ゲームは、「ポケモン」「ドラゴンクエスト」のような、アニメやゲームとしてヒットしたコンテンツをベースにする場合が多い。なぜか? それは「徒歩への動機づけになる」ことが大きいだろう。

歩くことが健康に良いと分かっていても、無機質な万歩計に指示されるより、「ピカチュウと一緒に散歩できる」「選ばれし冒険者として旅ができる」といった理由があれば、1万歩、2万歩と歩けてしまうから不思議だ。他国よりRPGゲームが好まれる日本では、歩くことに理由やストーリーを与える「位置情報ゲーム×ヒットコンテンツ」は、ほぼ不可欠だろう。

そして、コンテンツを発信する側には、「ロングヒットコンテンツの生き残り戦争」という側面を持つ。子供のころから作品に慣れ親しんだ世代は大人になっており、この層をゲームの世界に呼び戻し、その子供たちにコンテンツを愛してもらうには、「スマホゲーム」という新たなプレイ環境を用意するほかはないのだ。

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