今回のBISの規制強化は、中国の半導体設計業界にすでに影響を与えている可能性が高い。というのも中国では5月29日、シーメンスのEDAのユーザーが(ソフトウェアのアップデートなどの)サービスを正常に利用できない事態が発生したからだ。
財新記者の取材に応じた複数の業界関係者は、シーメンスの営業担当者から「本社がアメリカ政府と交渉しており、その結果を待つしかない」と説明されたと証言した。シーメンスもBISから通知を受け取り、中国向けサービスの提供を制限したとみられている。
AI半導体が対象との見方も
アメリカの株式市場では、シノプシスとケイデンスが中国事業の縮小を余儀なくされるとの見方から、両社の株価が急落。シノプシスの5月29日の終値は前々日比で11%、ケイデンスは同12%それぞれ下落した。

一方、中国の株式市場では外国製EDAから国産EDAへの置き換えが進むという期待が広がり、関連銘柄が急騰。例えば広立微電子(セミトロニクス)の株価は5月29日、前日比20%のストップ高で引けた。

中国の専門家の中には、BISの規制強化は分野を絞り込んだものになり、すべてのEDAが対象にはならないと予想する向きもある。財新記者の取材に応じたアナリストは、次のようにコメントした。
「アメリカ政府は以前から(回路線幅3ナノメートル以下の)先端プロセス向けEDAの対中輸出を禁止している。今後はAI(人工知能)半導体向けEDAなどが追加される可能性があるが、(旧世代の技術で製造される)レガシー半導体向けは禁輸対象にならないのではないか」
(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は5月30日
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