「新聞は終わった」と言われるが……。読者シェア7割を維持する《地方新聞の勝ち筋》、家業を継いだ彼女の機転と地方で働く充実感

新聞業界が苦境に立たされている。日本新聞協会のデータによると、2024年の発行部数は2000年に比べて約半分にまで落ち込んでいる。そのような中、人口減少が進む地方の小さなまちで、部数減に歯止めをかけているのが岩手県大船渡市のローカル新聞・東海新報だ。
会社の舵取りを担うのは、3代目社長の鈴木英里さん。インターネットの情報全盛、「新聞はもう終わり」と言われる中でも地域で「読者シェア7割」を維持できている理由とは?
祖父創業のローカル紙、4歳で「会社を継ぐ」
眼下に太平洋が広がる岩手県大船渡市の高台。ここに建つ瀟洒な洋館風の建物が、ローカル紙・東海新報を発行する東海新報社の本社だ。
大船渡市と隣接する陸前高田市・住田町をカバーし、3市町での世帯購読率は約70%を維持している。「新聞離れ」が指摘される中、2025年の大規模林野火災後には新規の購読申し込みも相次いだ。

1958年に鈴木さんの祖父・正雄さんが創業した同社はもともと海沿いにあり、2年後の1960年にチリ地震津波で被災。5日ほど新聞が出せなかった。
その後、2代目社長となった父・英彦さんが「三陸には必ずまた津波がくる。その時は休まず新聞を発行し続けられるように」と1988年に高台の現在地へ本社を移転したという。
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