結局どれもうまくいかなくなる…「ながらスマホ」する人は仕事ができない本質理由

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たとえば、初対面の人と接した際、音を立ててコーヒーカップをソーサーに置くのを目撃し、「この人はがさつだ」と判断する。それがまさに、あなたのものさしによる評価です。

自分の中にある「荒っぽい振る舞い=がさつな人」の基準で相手を判断している。しかし、世の中には、少々振る舞いが粗雑でも、ナイーブな心を持っている人がたくさんいます。

もしも自分だけのものさしにとらわれていれば、そのナイーブさに気づくことはできないでしょう。「両忘」の禅語は、自分の固定観念となるものさしを忘れなさいと伝えています。

物事の本質は、固定観念を越えたところにある

自分の中の「良い」「悪い」「好き」「嫌い」などの判断基準を超えることで、心は自由になり、相手や目の前の出来事をありのままに受け入れられる。

私たちは日々、さまざまな経験を積んで生きています。その経験の中には、もちろん悲しみを伴うものもあります。喜怒哀楽が自然に湧き上がるのは人間らしさそのものですし、その感情を抱くこと自体は悪いことではありません。

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ただし、いつまでも悲しみにとらわれすぎると、心がペシャンコになってしまい、前に踏み出す「進む力」を失ってしまいます。可愛がっていたペットを失ったとき、「ペットロス」の言葉があるように、誰もが大きな悲しみに包まれるでしょう。

しかし、「ペットがいることが幸せ、いなくなったことが悲しい」といったものさしにとらわれている限り、その悲しみは長引いてしまい、癒えるまでに時間がかかります。もし、そのものさしを忘れることができたなら、ペットと過ごした楽しい時間も、今の悲しみも、ただ「そのままの事実」として受け入れられるようになるのではないでしょうか?

「そばにいるときは、思いきり可愛がってあげられたし、充実した日々だったなぁ。でも、いなくなった今も、最後まで看取ってあげた満足感や納得感もあるし、いい思い出を一杯残してくれたから、それがまた別の充実感につながっている」

こうして、ものさしから自由になった心は、状況をそのまま受け入れられます。「両忘」を実践することで、私たちは悲しみにとらわれることなく、過去の経験から学び、今を大切に生きられるのです。

ものさしを手放し、心を自由に保ちながら、日々の喜びや悲しみをそのまま受け入れていきましょう。固定観念を捨てて、自分の中にある制約から解放されると、物事をより柔軟に、深く理解できるようになります。自分や他者に対して寛容になり、心の余裕を持てるようになるのです。

枡野 俊明 「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶

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ますの しゅんみょう / Shunmyo Masuno

1953年、神奈川県生まれ。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣(当時)新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年、『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出。主な作品はカナダ大使館庭園、セルリアンタワー東急ホテル庭園「閑坐庭」、ベルリン日本庭園「融水苑」など多数。曹洞宗徳雄山建功寺住職、多摩美術大学環境デザイン学科教授。著書に『心配事の9割は起こらない』『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力』(以上、三笠書房)など。

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