「東大は中国の受験敗者の逃げ込み先?」≪中国受験戦争≫塾代200万円超、合格率は約3割の苛烈

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一方で近年人気の進学プランナーは、「主に保護者に対して、各段階で具体的に何を準備すべきかを指導する。例えば、子どもの学習計画の立て方、さらには家庭教育や親子関係についてもアドバイスを行う。料金には明確な基準はなく、1回ごと、項目ごと、年間契約などさまざまな形式があり、数百元から数万元まで幅がある」(湯さん)。

「大学入試志望校コンサルタント」は、「高考」の後に受験生が行う「志愿填报(志望校・学部の選択と提出)」をサポートする職業。主な業務は、AI・ビッグデータを活用し、最適な志願校リストを作成することだ。

中国では受験ルールがますます複雑化しており、同じ点数でも志望校によって合否が変わる。地方(特に農村地域)や経済窮迫な家庭には情報面で明らかに不利である。そのため、大学入試志望校コンサルタントにアドバイスを求める受験生は多い。

2020年から中国の教育部は、トップ39大学を対象に、「強基計画(日本のAO入試に相当)」を実施し始めた。これは大学入試制度改革の一環として導入された新たな選抜制度である。

「高考」の成績に加え、面接・校内試験・実績などを総合的に評価する方式がとられている。志望倍率が100倍以上に達することもあり、その結果、「進学プランナー」が果たす役割はますます重要になっている。

「受験戦争」とはいえ、保護者、教育関係者、受験生の誰もが、大学入試の競争が過酷であり、受験生が大きなプレッシャーにさらされていることを認識している。

それでもなお、「高考制度」は維持する必要があるという点については、ほぼ全員が首を縦に振る。中国に身を置く限り、「高考」は中国人にとって避けて通れない、人生で必ず経験する道であると、口をそろえて語る。

中国は国土が広大であるため、日本のように受験生が自由に大学を選んで受験することは現実的ではない。仮に受験生が大規模に移動すれば、混乱を招く恐れがある。また、各大学が自主的に入試を行えば、不公平が生じる可能性があるという点も、多くの人が共通して抱いている認識である。

中国の大学を諦め、日本に”逃避”する学生も

冒頭の王さんは「受験戦争」の勝ち組で、まさに「金の卵」。毎年20万人以上の受験生が志望票を提出するとも言われる清華大学に合格した。

彼女は大学在学中、交換留学生として東京大学で5カ月間学び、さらに全日本空輸(ANA)で5カ月間実習した。現在は四川省成都市の清華大学の研究機関に勤めている。

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