“ウォークマンを知らない”世代にソニーのXperiaはどう響くのか。海外スマホ市場で苦戦する日本メーカーの戦略
実際にソニーは過去に尖った製品を出している。2021年に発売した「Xperia PRO-I」は大型センサーや可変絞りを搭載し、高画質動画撮影にも対応したクリエイターやプロ向けのカメラ特化スマートフォンだった。Xperia 1シリーズはハイエンド・フラッグシップクラスの製品だが、Xperia PROシリーズはそれの上を行く製品だったのだ。残念ながらPROシリーズは2モデルが出た後、後継機種は出ていない。

ウォークマンを知らない若者たち
Xperia 1 VIIはウォークマンシリーズや高性能ヘッドホンを手がけてきたソニーならではの卓越した音楽再生性能を誇る。いわゆる「AV」、すなわちAudio=オーディオとV=ヴィジュアル分野において、ソニーが常に市場をリードしてきたことに異論を唱える人は少ないだろう。Xperia 1 VIIには「Powerd by WALKMAN」の表記が公式に採用されている。
ウォークマンの名前は日本だけではなく世界中でも広く知られている。しかも最近の若い世代、Z世代の間でもその名前は聞き慣れたものになっているという。だからといって「WALKMAN」のブランドがXperia 1 VIIの販売に好影響を与えるものになるほど、事は甘くない。
実はZ世代の間でウォークマンが知られているのは、2000年以前に一世を風靡したデジタル製品へのレトロブームの1つにすぎないからだ。彼ら・彼女らの間では古いデジカメを使い、あえて画質の悪い写真を撮ることが“エモい”とされ、SNSで共有することがトレンドになっている。ウォークマンの名前を聞いても、Z世代と“昭和世代”の間では受ける印象は大きく異なるのだ。

とはいえブランドを認知されているのは大きな強みだ。ウォークマンのブランドをいきなり性能に結び付けるのではなく“気軽に使える音楽スマートフォン”のように、まずは体験してもらい、そこから性能の高さを認知してもらえればXperiaへの関心も高まるだろう。またソニーの製品はZ世代の親の世代が使っていたこともあり、実は幼少のころからソニーブランドに慣れ親しんでいる若者も多い。
スマートフォンとして優れた性能を持つXperia 1 VIIが日本以外の国であまり知られず、ひっそりとした存在のままでいることは勿体ない。カメラ、音楽、ディスプレイにソニーの技術をつぎ込んだ製品だけに、ぜひその魅力が海外でも広く伝わり、多くの人に手に取ってもらえるようになってもらいたいものだ。
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