「毎分“最大864個”のブラックサンダー」が生まれる光景は圧巻! 豊橋に爆誕した工場見学施設に潜入、「300億を目指す」社長の戦略も聞いた

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また、50円内・100円内の小物チョコを手掛ける会社は、フルタ製菓・三立製菓・やおきん・有楽製菓など年商100億~200億円程度の中小企業が多い。

数千億円を売り上げる明治・グリコ・ロッテなどチョコ大手との競争がなぜないのか?という疑問を河合社長にぶつけたところ、「有楽製菓の場合」として、大手と中小の違いで「商品構成のあり方」「商品への資金のかけ方、使い方」を挙げた。

まず、大手企業で商品を立ち上げる場合は、一定の資金で調整のうえで収支を計算して開発・宣伝・販売が行われる。しかしブラックサンダーの場合、もともと「ザクザク感」などの満足感やインパクトを重視したため、「商品原価にかなり資金を注いでいる」とのこと。原価や収支は非公開ではあるものの、「同様の商品と比べれば、ブラックサンダーは間違いなくおトクです!」と、河合社長は胸を張った。

しっかり原価をかけた特徴的な商品、いわば“トガった”商品は、膨大な社内調整が必要な大手では、確かに作りづらいだろう。ましてや収益をあげづらい低価格帯で、安価で供給できる体制とブランドを確立したブラックサンダーにバトルを仕掛けても、おそらく大手だと割に合わない。

もうひとつ、大手メーカーは商品周知のために多量のテレビCMなどを打つが、有楽製菓やブラックサンダーは「そういった広告出費は極力抑えている」という。かわりに「路面電車(豊橋鉄道市内線)の1両丸ごとラッピング」「自動販売機『義理チョコマシーン』設置」などで、ニュースとなって関心を高める「パブリシティ効果」を目指す販促をよく行い、SNSユーザーに刺さる発信で、若い世代への露出をキープしている、というわけだ。そう言った意味で、有楽製菓のマーケティング部門は、なかなか優秀だ。

〈疑問②〉売上165億円→300億円、ブラックサンダーでどう達成する?

河合辰信社長が取締役に就任した2013年以降(社長就任は2018年)、有楽製菓の年間売り上げは90億円(2013年7月期)から、165億円(2024年7月期)と、大幅に業績を伸ばしている。そこから300億円という中長期目標へ向けて、格安なブラックサンダーで、どう売り上げを立てていくのだろうか?

河合社長によると、成長の柱として「海外での拡販」「高付加価値商品の提案・販売」を考えているとのことだ。

ブラックサンダーの海外展開は、台湾では、現地企業との合弁での販売で、「黒雷神」(ブラックサンダー)や「BIGサンダー(現:ビッグサンダー)」が、一時期品切れになるほどヒット。インドネシアでも、シンガポール・デルフィ社の工場で生産・販売を行っており、アジアを中心にブラックサンダーの販売網を広げていくという。

有楽製菓のラインナップ(筆者撮影)
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