中根弓佳・サイボウズ事業支援本部副本部長に聞く ベンチャー企業の成長と人事評価制度の変遷

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現在の社員数250名の中で、DSを選択している人は21名。DSを選択している人は結婚している人が多く、選択理由も育児が6割を占めている。その他の理由は多様であり、中には大学に通うためにDSを選択している人もいる。PSとDSは固定されるわけではなく、1年ごとに変えることができるので、ライフステージの転換期に選ぶ人が多いように思う。

--導入から5年、制度の改定はありましたか?

2011年から制度を改定し、PSを2つに分けた。新制度では、PS制度、PS2制度、DS制度という3つの働き方を選ぶ制度になった。

旧PS制度の時間管理は、自己の裁量に任せられていた。新PS制度を選ぶと、みなし残業は同じだが上司に勤務状況を報告しなければならない。PS2制度は、旧PSと同じく自己の裁量で時間管理を行う。新PS制度を選択した者は58名、PS2制度を選択した者は170名だ。働き方の選択肢が増えることで、社員が自らのワークライフバランスを設計できることを期待している。

--人材定着のため、ほかにはどんな制度がありますか?

育児・介護との両立支援には配慮している。産前産後休暇は妊娠判明後から産後8週間まで休暇を取得できる。ただし無給。配偶者出産休暇は、配偶者の出産前後に3日間の休暇が取得できる。これは有給だ。

ユニークなのは育児休業制度だろう。子どもが小学校に就学するまでの期間に何度でも休業できる制度だが、「小学校に就学するまでの6年間」と「何度でも休業できる」という制度を持つ企業は少ないと思う。

これまでに15名が育児休業制度を利用して子育てをしている。利用者のほとんどは女性だが、男性も1名が利用している。また育児休暇を2回以上取得した者は4名だ。社長も育児のための休業を2年前にとり、今年も育児との両立のため週4日の勤務をしばらく行う予定だ。

介護や看護も大きな問題と認識している。当社の介護休業制度を使えば、介護状態に関わらず、最大6年間は回数を問わずに休業できる。また看護休暇は、日数に制限がなく、家族の看護のために会社を休むことができる。休んだ日数の中で5日間は有給だ。この介護と看護もユニークな制度と認識している。これからも社員が働きやすい環境を作り、継続的雇用が可能な人事評価制度を運用していきたいと思う。


中根弓佳
サイボウズ事業支援本部副本部長 1999年、慶応義塾大学卒業後、関西の大手エネルギー会社に入社。2001年サイボウズ入社。法務部長を経て、2011年より事業支援本部副本部長。2007年に出産し、育児休暇を取得した。

(聞き手:HR総合調査研究所(HRプロ) ライター:佃光博=東洋経済HRオンライン)

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