発電量ゼロの日本原電に、東京電力が巨額支払い 原発事故から1年
原発以外の発電所を持たない同社は、2011年度はまともに事業を運営できない状態にある。震災で東海第二と敦賀1号機の発電量はゼロ。敦賀2号機も8月末に定期点検に入ってから、止まったままだ。
ところが、収益面では奇妙なねじれが生じている。同社が昨年12月に発表した11年4~9月期の半期報告書によると、原発の稼働減によって販売電力量は前年同期比83・1%減と大きく落ち込んだが、売上高は1・1%減の837億円と、前年同期と遜色ない。一方で、原発稼働にかかわる費用は減ったため、経常利益は373億円と、前期の26倍にも増えたのである。
これに最も貢献したのが、東電などの主要取引先だ。東電と東北電力は毎期、東海第二から電力の供給を受けているが、今期は同発電所が稼働していないため、電力をいっさい購入していない。にもかかわらず、東電は4~9月期に232億円を、東北電力は59億円を、日本原電に支払った。また敦賀発電所から買っている関電なども、購入量が大幅に減ったとみられる中、前年同期並みの支払いを行っている。
日本原電は「販売電力料は基本料金と従量料金から成っている。発電などがまったくない場合でも、発電所の維持・運転に費用が必要なため、販売電力料を得られるよう契約を行っている」と説明。詳細は不明だが、この基本料の比率が極めて高い契約を結んでいるとみられる。
原子力村のなれ合いで利用者の負担は増加
「使っていないサービスに料金を支払う契約など、一般企業ではありえない」。東電の大株主であり、需要家でもある東京都の猪瀬直樹副知事は、同社の対応に憤慨する。