インドは、経済規模の点では中国の潜在的なパートナーと見なされる。しかし、伝統的に中国と領土問題や安保上の対立が根深い。安全保障や外交上の不信が根強く、全面的な協調は不透明だ。クアッド(日米豪印戦略対話)などの枠組みでアメリカ側に寄る傾向があるため、中国主導の経済圏に積極的に参加する可能性は低いとみられる。
同国は「自己主権」意識が強い。「グローバルサウス」の代表を自任しており、米中どちらか一方に「従属する」ことを拒んでいる。これが、RCEPへの参加を見送った背景でもある。
また、半導体、電池、AI(人工知能)などの新興産業では、中国との競争意識が強く、サプライチェーン再編でも自国主導を目指す「メイク・イン・インディア」政策を進めている。
ただし、インドも経済成長のために柔軟な外交を展開する余地はある。そのため、局面によっては中国との限定的な協調を排除しないだろう。
日豪は経済の対中依存を減らす動き
日本とオーストラリアは、「安保はアメリカ、経済は中国」という二重構造を維持してきた。しかし、ここ数年、経済面でも対中依存を減らす動きが加速している。
日本では、経済安全保障推進法(2022年施行)により、経済の基幹インフラでの中国依存を減らすべく、政府は国内供給網の強化に巨額の補助金を投入している。とくに半導体、重要鉱物、エネルギーなどの分野では、アメリカやインドとの連携が強化されており、単なる「経済的利害」ではなく、経済安全保障の論理が前面に出つつある。
また、防衛や先端技術分野での外国投資規制を強化し、中国資本の影響力拡大を制限している。
さらに、製造業の現地生産拠点を中国以外(東南アジア、インドなど)に分散する動きが活発化している。例えば、家電大手のパナソニックは電池製造をマレーシアへ一部移転し、アパレルのユニクロもベトナムなどでの生産比率を高めている。
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