【最新のハーレーダビッドソン像とは】「X500」「パンアメリカ1250ST」「ストリートグライドウルトラ」乗り比べてわかった個性と進化

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ストリートグライドウルトラのエンジン。ミルウォーキーエイト117と呼ばれる1923cc V型2気筒エンジンは、最高出力107HP(80kW)/5020rpm、最大トルク175Nm/3500rpmを発生
ストリートグライドウルトラのエンジン。ミルウォーキーエイト117と呼ばれる1923cc V型2気筒エンジンは、最高出力107HP(80kW)/5020rpm、最大トルク175Nm/3500rpmを発生(写真:三木 宏章)

ハーレーダビッドソン最大排気量となるエンジンの着火性もスターターモーターを押せば1発でかかり、あの独特のバイブレーションのアイドリングがスタートする。走行モードは、レインモードとストリート、さらにスポーツモードが用意されているが、今回の試乗コースは横浜市街地だったこともあり、意外にレインモードが一番扱いやすかった。十分にトルクと出力があるので、バゲッジ満載でのタンデムライドでない限りは、筆者にはレインモードで十分なエンジンパフォーマンスに感じた。

最高出力107HP、最大トルク175Nmは、この大きな車体を軽々と走らせてくれる。スポーツモードにしてしまうと、アクセルの反応が敏感すぎる印象で、大きな車体がどんどん前に進もうとするほどだ。軽く進んでしまうので、速度調整のためにスロットルを戻さなくてはならなくなり、結局のところ、ギクシャク感が出てしまう。このサイズでの不要な前後ピッチは、不愉快以外の何物でもないので、右手には多少ディレイした感じでも、パワフルなエンジンだけに十分と言える。

大きくて乗りづらいは過去のものに

ストリートグライドウルトラのリアビュー
ストリートグライドウルトラのリアビュー(写真:三木 宏章)

フロントに採用されているショーワのサスペンションは非常にストロークがあり、今までのハーレーダビッドソンとは違ったものだ。近代のハーレーダビッドソンは、過去の印象から脱却して、乗りやすさと扱いやすさ、信頼性、そこから安定性、安全性までのトータルなアプローチを達成しているともいえる。

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乗り心地がよく、ブレーキのコントロール性能もライダーがわかりやすい。今回は2人乗りのテストはできていないが、左右のパニアケース、そしてトップケースをつけて、ぜひパートナーを後ろに乗せて走ってみたい。それが、このストリートグライドウルトラの神髄と考える。

そして外観面で特徴的なのがフロントのフェアリングで、ハーレーダビッドソンは長きにわたり、70年代からこの形状を継承してきた。ウインドウプロテクションという意味でも効果的で、ライダーに負担をかけないグランツーリスモの王者といえる1台だ。

今回は、キャラクターの異なる3モデルに試乗したが、それぞれにハーレーダビッドソンの伝統を残しながらも、ユーザーの声に耳を傾け、新たな一面を見せてくれた。

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宮城 光 モータージャーナリスト

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みやぎ ひかる / Hikaru Miyagi

1962年生まれ。1982年鈴鹿サンデーオートバイレースに於いてデビュー3位。直後にモリワキレーシングと契約、1983年鈴鹿4耐で優勝、同年全日本F3クラスとGP250クラスに於いてチャンピオン獲得。1984年全日本F3クラス、F1クラスチャンピオン獲得。1988年HondaのHRCと国内最高峰GP500ccライダーとして契約。1993年より活動の場をアメリカに移し、全米選手権でチャンピオンになるなど、日本だけでなく海外でも活躍。1998年からは国内4輪レースでもその才能を発揮し、翌年の「4輪スーパー耐久シリーズ」ではチャンピオンを獲得する。また、世界耐久選手権シリーズ・鈴鹿8時間耐久ロードレースでは2003年より5年間ホンダドリームレーシングの監督を務めた経験ももつ。2016年には米国ボンネヴィルにおいて4輪車の世界最高速度記録を達成、世界記録保持者。開発車両ではTeam無限のマン島TT参戦車両・2輪電動マシン「神電」の初期からの開発ライダーを担当し2018年時点で5連勝中、2019年もチャレンジする。一方では、警視庁及び企業向け交通安全講話やライディング&ドライビング講師、専門学校講師などのほかに、 日本テレビのMotoGP解説者や雑誌などのメディアでレースやバイクの解説を務めるなど、多方面で活躍中。ホンダ・コレクションホールではホンダ歴代の2輪4輪グランプリマシンの維持管理テストレーサーを務める。無類のラジコン好き。

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