「トランプ関税」はアメリカと世界を殺して終わった、そしてアメリカ社会は、これからさらに荒れることになる

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「トランプ関税」は世界とアメリカを殺した、と筆者は言う(写真:ブルームバーグ)

「トランプ関税」とは何だったのか?

それは、アメリカと世界を殺して終わった。

「小幡先生は最近『日銀がまた死んでしまった』などと書いていたが、日銀の次は世界を殺すのか?」とかんべえ氏(吉崎達彦・双日総合研究所チーフエコノミスト)に言われるかもしれないが、事実だから仕方がない。

「死へのロード」はもう始まっている

かんべえ氏だけでなく、多くの人がこの見方にうんざりするか、あるいは異議を唱えるだろう。「確かに関税ディールは無駄に終わり、成功しなかったが、ドナルド・トランプ大統領の変わり身の早さは見事だ。対中関税も元に戻し、株価も4月2日前に戻り、恐怖も暴落も短期で済んだ。実質的な被害はなかったじゃないか」、と。

あるいは、「これからはトランプ経済政策のプラス面が出てくる。減税の拡大があるし、しかも、それは関税の失策を取り返すために、派手な大減税をして支持率回復を目指すから、むしろ結果的にはプラスになりうる」とか。

馬鹿言うな。

トランプ関税で負った傷は破傷風のように、放置すれば本当に死んでしまうことになるだろう。その死へのロードはもう始まっているのである。

株価は、不安と期待で動く。今回はパニックとパニックの反動のランナーズハイ的な高揚感(安堵感というスパイスの効いた)だっただろう。しかし、それは、ただのセンチメントにすぎない。

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小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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