僕は絶対に「パーキンソン病」に負けません ダイヤモンドダイニング松村社長の熱狂宣言

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しかし同時に自分の心底に、「こんなところで倒れるわけにはいかない。とにかく突き進まなければならない」という気持ちがフツフツと湧いてきたのです。

「病気なのに経営ができるのか」という疑問に答えよう

松村 厚久(まつむら あつひさ)ダイヤモンドダイニング社長。1967年3月29日生まれ。高知県出身。上京後サイゼリヤでのバイトなどを経て日焼けサロンの経営を開始、2001年に外食産業に進出。立地や店舗ごとに業態を開発するマルチブランド戦略を取り、不可能とされた100店舗100業態を達成。吸血鬼をテーマにした居酒屋から土佐料理、フレンチ、イタリアンにいたるまで店のジャンルは幅広い。ダイヤモンドダイニングは2015年7月、東証2部から1部に昇格

その想いが「100店舗100業態」という、外食産業の世界ではクレイジーとまで言われた目標を、2010年に達成できたモチベーションにつながったのだと思います。

今回、私は作家の小松成美さんに書いていただいた「熱狂宣言」(幻冬舎刊)で、病気のことをすべて公表しました。すでに病気の症状を隠しきれなくなったからです。

このまま何も言わずにいれば、周りの人たちに余計な心配を掛けさせてしまいますし、進行性の難病を抱えた私が経営に関わること自体、リスクだという意見も、いろいろな方々から頂戴しています。

その意味で、今回の本では、私が今、置かれている状況について、嘘偽りのないところをすべて文章にしていただきました。ダイヤモンドダイニングが将来、どこを見据えて、さらなる発展を目指しているのかが、お分かりいただけると思います。

オーナー系企業も一般企業も同じですが、オーナー系企業のほうが、所有者兼経営者としてのトップの采配が、業績の浮沈により大きく影響を与えると考えられています。私の健康状態が心配されたのも、ダイヤモンドダイニングという会社がオーナー系企業だからでしょう。

ただ、私はこの数年で大きく権限移譲を進めてきました。もともと、前々から「任せる経営」を行ってきたのです。どういうことかといいますと、「コンセプトを外さない」「適正な利益を出す」「お客様を喜ばせる」という3つの約束さえ守ってくれれば、社員には何をやっても良いと言ってきました。

だから、トップがいちいち細かいことにまで口を差し挟まなくても、現場の社員が自主的に考え、動いてくれます。既存店舗の運営、新規店舗の出店などは、私が直接関わらなくても、特に問題はありません。

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