JR東「荷物新幹線」、料金をJR貨物と比べてみると? 専用車両も導入「新しい発想」何を載せて運ぶか

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今秋からは荷物専用の新幹線の運行も始まる。JR東日本は「つねに満杯になるかは需要次第。需要を作っていかないといけない」と気を引き締める。新鮮な魚介類や地方の特産品を駅ナカのイベントで販売する程度では足りない。まったく新しい発想が必要となる。

では新しい発想とは何か。JR東日本の伊藤敦子常務は「それはまだわからないが、新幹線という強みが活かすことで付加価値が出せるような荷物を輸送していきたい」と前置きしたうえでこう述べた。

「たとえば、新幹線の荷物輸送と航空貨物は相性がいい。地方の荷物を新幹線で東京まで持ってきて、そこから海外に航空便で運んだことがある。新幹線はトラック輸送と違って新幹線には定時性が高いというメリットがある」

荷物新幹線は大型ビジネスになるか

トラック輸送で空港まで運ぶ場合は、渋滞の遅れを考慮して時間に余裕を持たせる必要があるが、新幹線ならそこまで考えなくてよい。速度に加えて余裕時間も減らせるため、トラック輸送を活用するよりも早く海外に荷物を届けることができる。地方の工場で製造した機器類の輸送、さらに新鮮な海産物・農産物など、国内よりもずっと大きいマーケットが海外に広がっている。

JR東日本は今夏にこれまでの「変革2027」に代わる新しい経営ビジョンを発表する予定である。現在策定中とのことだが、すでに公表されている内容にも「これまでにない発想と戦略で新たなマーケットを創造」「当たり前を超えていく」といった文言が並ぶ。

荷物新幹線 ホームに積まれた荷物
ホーム上に積まれた、新幹線から運び出された荷物(記者撮影)
【写真をもっと見る】新幹線から降りてきたのは乗客ではなく荷物。車内からホームへ荷物を運び出すスタッフの動き

荷物新幹線という器からどんなマーケットが生まれるのか。「事業としてやっていくからには数億、数十億ではなく少なくとも3ケタ(100億円単位)の規模感を目指したい」(伊藤常務)。JR東日本の目論見どおり進めば、駅ナカ商業施設の「ecute(エキュート)」や交通系ICカード「Suica(スイカ)」並みのインパクトを持つ大型ビジネスとなる可能性がある。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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