JR東「荷物新幹線」、料金をJR貨物と比べてみると? 専用車両も導入「新しい発想」何を載せて運ぶか

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同じ鉄道ということで、JR貨物から一定のシェアを奪えるのではないかと期待する見方もある。実際、JR貨物の社長会見などの場では、報道陣から毎回のように「荷物新幹線はJR貨物にとって脅威となるか」という質問が出ている。しかし、その場合のJR貨物の回答はいつも、「輸送ニーズが異なり、すみ分けができている」というものだ。輸送ニーズとは、大量の荷物を安価で運ぶということにほかならない。

JR貨物 コンテナ貨物列車
JR貨物のコンテナ貨物列車(撮影:梅谷秀司)

競争ではなく「新市場開拓」

実際、JR貨物のホームページで調べたところ、東青森から隅田川駅まで12フィートコンテナ1個を運ぶ際の概算費用を調べると6万9100円となる。JR貨物は「場合によっては付帯料金が発生することがある」としているが、一方でこの金額には貨物駅から10kmの距離にある集荷先、配達先の間の輸送料金も含まれている。鉄道だけで言えばさらに安いということになる。

12フィートコンテナにはダンボール箱400個程度を格納できるというから、1箱あたり172円という計算になる。JR東日本は大口輸送における1箱あたりの料金を開示していないが、前述のとおり小口輸送の場合は1箱2200〜3300円であり、40箱程度を格納できる車販準備室の一室貸しの料金は6万1600円なので1箱1540円となる。ここから類推して、車両単位の大口輸送の料金が鉄道貨物並みの低コストになるとは考えにくい。つまり、価格面ではなく、JR東日本は高速輸送で差別化を打ち出すことになる。

トラック輸送との競合も同様であり、「トラックドライバー不足などの社会的課題の解決」という点からトラック輸送から需要移転を見込んでいるようにも見えるが、JR東日本は「大きな視点では物流業界の人手不足や二酸化炭素(CO2)排出量削減といった社会的課題解決への貢献を目指しているが、トラックと競合するというよりは、高速で揺れないというメリットにマッチする需要をどう作るかだと考えている」と説明する。つまり、新しい市場を生み出すのがJR東日本の狙いだといえる。

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